現地に着くと、潤達もちょうど練習を終えて川原に移動して来たところだった。


空きスペースに車を停め、サイドブレーキを引いた途端、元のテンションに戻る雅紀。


俺達のことなんてそっちのけで、小走りで車のトランクを開けると、自分の荷物だけ持ってウズウズと足踏みをしながらニノの様子を伺っている。


まるで、ご主人様の合図を待つ大型犬。


さしづめゴールデンレトリバーってとこか。


ニノが雅紀の荷物を奪い取って


「行っていいよ」


と言うと、嬉しそうにニカッと笑って、あっという間にバーベキュー場まで駆けて行ってしまった。


今のはご主人様からのGO!の合図だったのか?


寝ぼけ眼の智くんを引っ張って車の後ろに回ると、ニノが俺達の荷物を渡してくれた。


「まるで犬だな」


まつじゅーーん!!
と叫びながら、バーベキュー場にたむろしているテニス部の固まりに突進していく雅紀を見送る。


「忠犬だからね。扱いやすいよ」


ニヤリと笑うニノ。


手綱?この場合はリードか?
は、しっかりとニノが握っているらしい。


各々の荷物、と言ってもたかが一泊、しかも何をするわけでも無いから大した量じゃない。


それを持って川原に降りると、バーベキュー場で食材を広げ下ごしらえをする潤の横で、雅紀が嬉々としてバーベキューコンロの炭に火を着けようとしている。


その回りでテニス部の男どもが雅紀の火起こしを眺めている。


ここはテニス部の合宿地で、俺達はオマケのはずなのに、ここでもやっぱり最前線に立つ雅紀。


一方ニノは、少し離れた場所からぐるっとその場を見回して


ダメだな


小さく呟くとスウッと息を吸った。


「疲れてるのは分かるけど、部長ばっかり働かせてどうすんの?」


見かけによらず、良く通る声。


「そこの固まり、潤くん手伝いなさいよ。
で、6、7人ここにタープ張って。
そっちの人達、飲み物出てないじゃん、奥に置いてたって飲めないよー
あっ、そこの3人相葉さんの助手やって、見てるだけじゃなくて動いてね。
せっせと働かないと、肉が焼ける前に陽が暮れちゃうよー」


次々と指示をだす。


テニス部の連中も部外者のニノの言葉に素直に従って、あっという間にその場が効率良く回りだした。


ニノ自身はひとつも動いていないのに。


はーやれやれ、仕事は終わったとばかりに、いつの間にかテニス部の一年生らしき二人が持ってきたイスにどっかりと座った。


「二宮さん来てくれたんですね」
「俺が来て下さいって言った時はヤダッで言ってたのに~」


イスを持って来た一年生がニノにじゃれついている。


「ねぇ、翔ちゃんと大野さんの分のイス無いの?」


ニノが二人をちょこっと睨むと


大変失礼しましたー
と、先を争うようにイスを取りに駆け出した。


あの二人にはニノしか見えてなかったんだろう。


こいつらもニノの忠犬か?


先輩二人を差し置いて、悠々と幌布の背凭れにふんぞり返ったニノを見下ろすと


「イス、すぐに来るからちょっと待っててね」


と、必殺の上目遣い。


何故かいつもうるうると潤んでいる瞳、紅を引いたような輪郭のハッキリとした赤い唇。
小首を傾げてその唇の端をほんの少し上げる。


お前、その顔がどれだけ破壊力があるか分かって使ってるだろ。


案の定、智くんはすっかりデレデレしちゃってる。




智くん、しっかりしてよ。
あなたは俺以外にそんな顔しちゃダメなんだよ。













つづく





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自己満足で始めてしまった『子犬のマーチ』ですが、たぶん『青春ブギ』を読んでないと分からないところがたくさんありますよね。


配慮が足りずにすいませんm(__)m


『青春ブギ』を一気読みしてくださった方々がいらして。
申し訳ないやらありがたいやらで焦っています。
ですが、とっても嬉しいです。







ところで、今日は14日という事で
恒例になってきました。
ここママさんとの月いちコラボ

明日9月15日 17:00
『抱擁』アップします。


よろしくお願いいたします\(^o^)/