漆黒の闇


海の底ってこんなに真っ暗なんだろうか


底から




ああ、見たことがある


ダイバーが見ている世界の碧だ


浮上している?


なにがあったんだっけ………?


ああ、マサキが溺れたんだ


助けようとして、おれも溺れて……


それから……………?








水面にゆらゆらと光が揺れている


海面に着いたんだ………








途端に肺に異様な圧迫感。


「……うっ…げほっ、げほっ………
……あっ……ひゅぅっ……げほっ……ひゅぅ………」


苦しい


異物を吐き出そうとする反射と、肺が空気を取り込もうとする反射のせめぎ合い。


激しく噎せながら、その合間に必死に空気を吸おうとする。




ひゅぅ……ひゅぅ……はっ……はぁ………………はぁ


はあぁぁーー


何とか呼吸を取り戻して目を開けると、目の前にマサキの心配そうな顔。


「気が付いた?
良かったーー
俺、マウストゥマウスなんて生まれて初めてやったよー」


砂浜に寝かされた俺の横に座り込んで俺の頭をかき抱くマサキ。


「泳ぎ、得意じゃないんでしょ。
だったら着衣水泳なんかしちゃダメじゃない!
裸より何倍も泳ぎづらいんだよ!」


「……それは、あなたが、溺れてたから…」


腹筋に力が入らなくて、囁くような小さな反論になった。


「俺?
俺は、まぁ、ちょっと失敗しちゃったけど。
俺は海には慣れてるんだから、あのくらいのアクシデントは大丈夫なの!

体制立て直して上がってくれば、潤が溺れてるからさ、意識のない潤を海から上げて、息してないから人工呼吸して、大変だったんだよ」


そうだっんだ。


「………ごめん、だけど」


あの状況じゃあ慌てるなっていう方が無理でしょ。


俺の反論は、マサキに再び口を塞がれたせいで言葉にはならなかった。


チュパッと音をさせて一度離れた唇は


「必死に、俺を助けようとしてくれたんだよね。嬉しいよ。
潤が無事で、ホントに良かった」


嬉しそうに笑ったまさきにもう一度塞がれた。


人工呼吸ではない、明らかに意思を持った口づけ。


なんだよ、俺に何も言わせてくれないの?


あんなマサキの姿を見て俺がどれだけ動揺したか。


マサキの無事な姿にどれだけほっとしたか。


有無を言わせず塞がれた唇は、そのまま深く深く絡められて、また息が苦しくなる。


確か


俺、さっきまで息止まってたんだよね。


この人、分かってるのかな?


だけど、すごく嬉しそうだから、まぁいいか。


俺も、なんだか嬉しいし。








聞こえるのは波の音。


マサキの頭越しに見える青い青い空。


今日も暑くなりそう。


そんな事を思いながら、目を閉じた。








おわり







~~*~~*~~*~~*~~


……えっと……


終わりました。


あとがきは、後ほど   εεεεεヾ(*´ー`)ノ