何故か次のデート?の約束をして
そんなこんなしている間に俺のカットとカラーが仕上がった。
ケープを外して
「どう?」
鏡の中の俺に聞かれても、さっぱりはしたけど自分じゃよく分からない。
それなのに
「うん、可愛いさ倍増、
スッゴク似合ってる。
でしょ?」
満足そうに頷いて、隣のアシスタントに振ってる。
アシスタントも心得たものなのか、満面の笑みで
「カッコいい!!
スッゴクお似合いです。
外に出たら、モデル事務所にスカウトされちゃいますよ」
って、言い過ぎだし、
大体自分の店のスタイリングだもの悪く言うわけがない。
半ば呆れながら会計に行くと、待合室の女子たちが色めき立っている。
キャーキャー言われているのは、レジに入った相葉くんでしょ。
と、思うのに、彼女達の視線の先がチョッと違う。
「くふふっ、俺じゃないよ。
みんな潤を見てるんだよ。
だから、可愛いって言ったでしょ。
帰り道、気を付けてね」
うちの店に来る、マダム方とは違う年齢層のお嬢さん方の視線に戸惑う。
「無事に帰れたか知りたいから、家に着いたら電話してね。
早朝デートの日程も詰めたいし。
はい、ありがとうございました」
本来の料金よりも大分安い金額のレシートを渡され、ニコニコと送り出された。
子供じゃあるまいし、家にくらい普通に帰れるっていうの。
と、多少憤慨しながら【S&S】を出たのだけど。
実際、さほど遠くない駅に着くまでが大変だった。
何処にこんなに隠れていたんだという数のスカウトに捕まり、
どんなに断ってもしつこく食い下がってくる、芸能事務所・モデル事務所を振り切るのに一苦労して
電車に乗った時には疲れ果てていた。
夜、電話で相葉くんに言うと
「だから、言ったでしょ、くふふっ」
と、やたら嬉しそうに言われた。
つづく
