ランチの喧騒が一段落して、ほぼ常連のお客様だけになった、レストラン『cousin's』には静かな空気が流れていた。


修行していたレストランのオーナーに独立を勧められて、迷わずここに開業する事を決めた。


便利な都心からは少し離れているけれど、古都といわれるこの街の雰囲気が気に入っていたし、何より新鮮な魚介類と地場野菜が手に入るここは俺の理想だった。


山の中腹にありながら、海を見下ろす事の出来るこの場所に店を構えて1年、漸く経営も軌道に乗って来た。








三人組のお客様が席を立ったところで俺はレジの前に急いだ。


三人は各々財布を出しながら


「潤くん、ごちそうさま」
「潤くん、今日も美味しかったわ」
「潤くん、また来るわね」


「有り難うございます。また、お待ちしています」


ニッコリと笑って、常連のマダム方に挨拶をする。


マダム方は何度も振り返り、手を振りながら店を出て行く。


数ヵ月前に雑誌に載ってから、こういうお客様が増えた。


(その雑誌、何故か表題にイケメンシェフがいる店とあった)


雑誌に載ったおかげで客足も格段に増えたのは有難いことで、名前を連呼される事なんて気にもならない。


ただ、こういったお客様が軒並みドレスアップして来店されるおかげで、この店はドレスコードのある店だと勘違いされる事も多い。


俺はもっとカジュアルに、誰でも入って貰える店にしたいのだけど……







カラン  カラン~


ドアベルと共に賑やかな話し声。


「いらっしゃいませ。
幸田様、金子様、ご予約有り難うございます」


「こんにちは、潤さん。
ちょっと早すぎたかしら」


「大丈夫です。どうぞこちらへ」


定期的に予約をしてくれるこの常連さんも、見事に着飾っている。


女性のお洒落は楽しみでもあるというから、俺が口を出す事でもないけれど、新幹線で通って来るというのに、女性は大変だなと思う。


それでも地場野菜を使った前菜を写真に撮りまくり、これ美味しいわーともりもりと口に運び、その合間に繰り広げられるマシンガントークに女性の逞しさを感じずにはいられない。


俺の作った料理を美味しそうに食べてもらって、仲間と会話をして、楽しんで貰えたらこんなに嬉しいことはない。






カラン カラン~


またドアベルが鳴って、一人の男性が入ってきた。


途端にざわつく店内。


お客様の視線がその男性に注がれている。
長めの茶髪で顔は見えないようだけれど

ヒソヒソと囁かれる声。



「なあに、あの格好」


「見てよ、アロハに短パン、それに、サンダルよ」


「このお店のこと知らないのかしら」



店内のざわめきに気づいた男性が


「あ、ここドレスコードの……
じゃあ俺…」


出ていこうとするから慌てて声を掛けた。


「いらっしゃいませお客様。
当店はドレスコードはございませんので、よろしかったらどうぞ」


招き入れると、帰ろうとしていたその男性客はほっとしたように


「じゃあ、あそこいいですか?」


と、誰もいないテラス席を指差した。


どうぞ、と促すと
ついてくるその男性に視線が集まる。


ラフな格好ではあるけれど、細身ながらしっかりとした体躯、スラリと長い手足、顔を覆う長めの髪はさらさらと揺れ、サンダル履きなのに歩き方に品が漂う。


目で追うマダム達の様子が段々と変わっていった。








つづく





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唐突に始まりました『the DeepEnd』いかがでしょうか?


始まったといってもまだ何も起きてませんが……


最後まで何も起きないかもしれませんが……


頭の中でラストシーンは出来てますが、というかわたしは基本ラストが見えないとお話が書けないのですが。


ちなみに、マダム方の反応は、わたしが潤くんのお店に行ったらどうなるかとの妄想から出たもので、他意はありません~壁|ω・)








ライブツアーも発表されて気持ちは次へ、となっていると思います。


今更感はありますが、


先日、ワクワクのグッズを買いに行った折り、
『抱擁』でコラボさせて頂いているここママさんと初めましてをさせて貰いました。


たまたま同じ時間にドームにいて、急遽だったのですが、



わたしも初めて会った気がしなかったですよ。

わたし人見知りなのに、不思議な感覚でした。

何より会えてとっても嬉しかったです(^o^)