イテテ……


背中が痛い……


ぼんやりと開けた目に映るのは白い壁に白い天井。いつもと同じ景色。


なのに、この背中の痛みは、
俺、昨日何かしたっけ?


だんだんはっきりしてくる視界の端で何かが動いた。


視線を巡らせると……


上からかずさんが俺を覗き込んでる?


………


あっ!


はっとして飛び起きると、簡易ベッドがギシッと鳴った。


そうだ、ここは病院だ。


昨日かずさんが倒れて救急に来て、俺はかずさんと離れがたくて病院に泊まったんだ。


それで……


それで……


完全に目が覚めて、かずさんを見ると


「おはよ」


昨日までと同じようで、昨日までとは違うかずさんが微笑んでいた。


「おはよう。体調はどう?」


慣れない簡易ベッドで寝たせいで、痛む背中を擦りながら立ち上がると


「もう大丈夫。
まぁくん、早く家に帰ろう?」


かずさんが起き上がった。


俺を見上げるかずさんの顔が近づく。


その微笑みの甘さに目眩がしそう。


昨夜俺たち気持ちを通わせたんだよね。


かずさんも俺を好きだって言ってくれたよね。


もしかしたら都合のいい夢を見たんじゃないかと疑いそうになるけれど、目の前のかずさんの顔が現実だっていっている。


そうだね、早く一緒に家に帰ろう。


そういえば


「かずさんの服がない……
昨日、シーツにくるんで連れて来ちゃったから。
俺、一度帰って服を持ってくるよ」


はたと気付いて、慌てて病室を出ようとすると


「まぁくん、待って。
潤に持ってくるように頼んだから大丈夫。
もうすぐ来るんじゃないかな」


いつも冷静なかずさん、すでに手配済みだった。


「ごめんね。
俺、退院の事まで考えてなかった……」


「それだけ必死に俺を連れてきてくれたんでしょ。謝る必要なんてないよ」


項垂れる俺に優しく言うかずさんが


「ねぇまぁくん、オレまぁくんが作った朝御飯が食べたい」


さらにそんな嬉しいことを言ってくれる。


これから診察を受けて、家に帰ってからだと


「朝食には少し遅い時間になっちゃうけど、大丈夫?」


昨日の今日だし、体調が気になる。
けれどかずさんは


「うん。まだお腹空いてないから。
病院食よりまぁくんのご飯の方がいいし、
んふふ」


「じゃあ、そうしようか」


顔を見合わせて笑い会う。


甘い。


かずさんが甘いんですけど。


今までもかずさんはいつも優しく笑ってくれていたけれど、こんなかずさんは初めてで……


どうしていいのか分からなくなる。


きっと一人で照れてどぎまぎしている俺は物凄く不恰好なんだろうな。


その時、コンコンというノックの音と一緒に扉がガラッと開いて


「かずー、服持ってきたよ」


いつもの元気な声と共に潤君が入ってきた。










つづく