翌朝、かずさんは何ごともなかったように、
いつもと同じ時間に起きてきて食卓に着いた。


「もう大丈夫なの?」


聞かない方がいいのかもしれない。
かずさんから話してくれるのを待つしかないのなら、ここはいつもと同じに振る舞うべきなんだろう。


だけど、昨日の姿が目に焼き付いているる俺は、聞かずにはいれなかった。


「ふふっ、心配かけちゃったね。
もう、大丈夫だから。潤も大したことないって言ってたでしょ?」


俺を気遣うように笑う、それはいつものかずさんの顔で大丈夫なんだと安堵する一方で、もどかしい思いも残っていた。


…もうちょっとだけ待って…


潤君の言葉を思い出す。


もうちょっとって、俺はいつまで待てばいいんだろう。
かずさんの事が分かる日はくるんだろうか……










それからまた幾日か経って、俺は仕事に復帰することになった。


職場もいつまでも休ませて貰うわけにもいかない。


働かなければかずさんに下宿代も払えない。


何だかかずさんは請求してこないような気がするけれど、俺はきちんと払いたかったから。







大野病院は、個人病院ながら救急搬送も受け入れる、この地域ではなくてはならない病院だった。


だけど、病院自体は大学病院のように大規模ではないから、俺が勤める総合病棟には小児や整形から脳外科での術後の患者まで様々な症状の人が入院している。


当然看護助手は医療行為は出来ない。


食事の配膳やリハビリの手伝い、病室の掃除など雑用をするのが仕事だ。


仕事だから、俺はそれをきちんとそして黙々とこなす。


人が相手の仕事でも、必要以上に関わろうと思わなければ出来るもので、


名札を確認して食事を運び、食べ終わった頃に下げにいく。
割り当てられたとおりにベッドメイキングをして、時間通りにリハビリ室に連れていきまた帰って来る。


別に患者さんと交流しなくても出来てしまう。


いつも表情を変えず、言われた仕事を黙々とこなす俺に、付いたあだ名は"アイスドール"
意味は常に冷静で感情を表さない人、だって。


それでいいと思った。


他人の気持ちなんて、他人の考えていることなんて分からない。俺の考えていることだって他人に分かってもらわなくていい。


これ以上傷付きたくない俺はただただ仕事だけに向き合ってきたんだ。





ただ、こちらが関わろうとしなくても、不必要に絡んでくる人間も時にはいて、


入院病棟の廊下を歩いている俺の姿を、その廊下の端で見つけた奴の目がキラリと光った。







つづく





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Dear Snow   13     読んで頂き有難うございます。

根暗い話が続いていますが、大丈夫でしょうか?


どうして突然出てきたかといいますと


Dear Snowの今後について、お知らせとお願いに参りました。


この話しの今後なのですが、雅紀くんの職場が病院ということもあり、病院内の描写が出てきます。


病院内のことに関しては、自分が入院中(出産や骨折で)に見知った程度の知識しかありません。
ですので実際の病院のシステムとは違う所が多々あると思いますが、お許しください。


また、病気や怪我の描写も出てきますが、にわか勉強ですので間違っている所があると思います(間違いだらけかもしれません)
さらに、話しの都合上わざと変えている所もあります。


温かい目で、ゆる~く見て頂けると有りがたいです。


どうぞよろしくお願いいたしますm(._.)m




アイm(._.)m