空港からの帰り道、夕飯を済ませていこうとラーメン屋に寄った。


並んで座って、ラーメンが来る。


「はい、箸。お酢あるよ掛ける?」


ニノが俺の前に箸やらお酢やらを置いていく。
何だか凄くかいがいしいんですけど。


「あっ、ここゆで卵サービスだって、食べる?」


手のひらにゆで卵を乗せられ、折角だからと卵の殻を剥き始めると、


胡椒はどうする?のついでのように


「今日相葉さんん家に泊まっていい?」


って聞かれた。


ドクンッ!


心臓が脈打つのが分かった。


「あのゲーム今日中にエンディング見たいんだよね」


なんて笑ってるニノに


「………い、いよ」


出来るだけさりげなさを装おって答えたけど、一気に上がった心拍数は全然落ちる見込みがない。


ニノはよく家に遊びに来てたけど、あの雨の日以来泊まることはなかったから。


あの時は、俺の気持ちはさておき関係的には友達だったから、俺は耐えるしかなかったけど…


今は………?


俺はもう、ラーメンの味なんてサッパリ分かんなかった。









帰り道、12月の夜のあまりの寒さに、二人で寒みー寒みーと言いながら玄関に転がり込む。


だけど、人気のない部屋の中は外とたいして変わらなくて大急ぎでエアコンのスイッチを入れたけど、直ぐに部屋が暖ったまるわけもなくて。


ニノが暖ったまるには風呂だって言うから、急いで風呂の準備をする。


お湯が溜まるまでの間にって、コートも脱がずにいそいそとコントローラーを引っ張り出すニノの丸まった背中を見つめた。


ホントにゲームやりに来たの?





風呂が沸くと、先に入っていい?オレ寒くって手足が凍えそう、って言いながらニノは風呂場に飛び込んで行った。


しばらくすると俺のスウェットをダルんと着てホコホコと湯気を上げながら出て来た。


しっかり暖ったまったんだろう、頬がピンク色に上気してる。


だから………
今の俺にそのビジュアルは心臓に悪いって…………


「お先に、やっと生き返ったぁ~
あっ、水貰うよ」


冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し蓋を開ける。


突っ立ったまま茫然と見てる俺に


「相葉さんも入ってきなよ。風邪引くよ」


まるで自分の家の様に言う。


俺は言われたとおり湯船に浸かった。


ふうっと息を吐く。


確かに外はえらく寒かったし、風呂は暖ったかい。
だけど、そこじゃないんだ。


夕飯も済ませたし風呂も入った。


あとは?
ゲームして寝るの?


あのベッドで、二人で?


相変わらず予備の布団なんてないから、寝るとしたらあのベッドしかない。


 うーん、ニノの考えてる事が分かんない。


照れ屋のニノが自分から誘っているとはどうしても思えない。


っていうことは………


ニノは俺がこんなこと考えてるなんて思ってないのかもしれない。


付き合うって、チューして抱き締めあってそれで満足しちゃってるのかも。


ホントにゲームを楽しみにしてて、二人でエンディングを見たら、あー良かったって就寝するつもりなのかも。


だったら寝かせてやらなきゃ。


間違っても俺がこんな邪なことを考えてるなんて悟られちゃいけない。


おい、俺のオレ、我慢だぞ。
これは試練だけど頑張るんだぞ。


俺はお湯の中で手持ち無沙汰に揺らめいてるソレに言い聞かせた。















つづく