松潤に期待させられて、ニノに落とされて、上がったり下がったり忙しい俺。
ニノはまだ言いたいことがありそう。
俺、ニノにそんなにいろいろやらかしたのかなぁ……
まぁ、思い返せば心当たりなんて山程あるんだけど……
もういいよ、言いたいだけ言ってと覚悟を決めてニノの顔を覗き込むと、一瞬目が合ったと思った途端くるっと後ろを向かれてしまった。
そのまま柵を両手で握ると、おでこまで柵に押し付けて絞り出すように言葉を繋げる。
「だけど……誰にでも優しくて…
何にでも一生懸命で……
他人の気持ちを大事にしてくれて………」
えっ?えっ?
あれっ?
なんか俺、褒められてる?
ニノはその白くてちっちゃいクリームパンのような手で柵を 力一杯握りしめているから、その手はさらに白く血が止まっているみたいだった。
「ニノ、手離そ」
俺がそっと手を包み込んでも、ニノは首を振って手も離そうとしない。
そうして必死に言葉を繋ごうとしてる。
「……オマエの側にいるとあったかくて、オマエの側は居心地が良くて………
もっと側にいたいと思うようになって……
それで……
それで……
がむしゃらなオマエの力になりたいと思うようになって………」
一生懸命言葉を紡ぐその背中が微かに震えてる。
ニノの透き通るような白い顔が、耳から華奢な首まで真っ赤になっていた。
俺の心臓はさっきよりはるかにバクバクいってる。
俺に背中を向けたままのニノ。
ねぇニノ、顔が見たいよ。
俺はそっとニノの肩に手をかけてこっちを向かせようとしたけど、身体に力を入れて全力で拒まれる。
仕方がないから背中から声をかける。
「ねぇ……それは、ニノも俺と同じ気持ちだって思っていいの?」
ドキドキ、ドキドキ・・・
心臓が口から飛び出そう。
「だけど……だけど………」
俺の問いに答えない。
まだ言いたいことがあるんだね。
いいよ、全部言って、だけど出来るだけ早くね。
俺の心臓がぶっ壊れる前に……
「オレ、ずっと翔ちゃんが好きだったのに…
好きな人がいるのに、別の人に惹かれてくなんて……
そんなの、ダメだし……」
気持ちが揺らいだ自分を責めるニノ。
「…それに、翔ちゃんがダメだったからって、すぐにオマエに乗り替えるみたいなのはヤダし……」
柵を掴む指がもぞもぞと動く。
それってもじもじしてるってこと?
普段は絶対に見せない、ニノの内側の繊細な部分に触れた気がした。
ねぇ、そんなに俺のこと真剣に考えて、悩んでくれたの。
「…そんなことないよ?」
「そんな事じゃねー!オレはそんな軽い奴じゃねーんだよ!!」
むきになったニノがこっちを向いて睨み付けてくるから、俺はすかさずその華奢な肩に両手をかけて逃げないように向き合った。
「くふふっ、真面目だねぇニノは」
「笑ってんじゃねー」
文句を言うニノの瞳はもう充分に水分を湛えてて今にも零れ落ちそう。
その潤んだ薄茶の瞳に吸い寄せられるように顔を寄せた。
するとニノの顔が、ボンッ!!て、音が聴こえるんじゃないかってほど真っ赤になった。
かわいい、超かわいい!何この反応!
こんな素直なニノ、見たことない。
「ねぇニノ、理由も経緯もどうでもいいよ。
俺は、今のニノの気持ちが知りたい。
ニノ、好きだよ、大好き。
教えて、ニノは俺のことどう思ってる?」
間近の瞳をじっと見て言うと、ニノの薄茶の瞳が揺れてそっと伏せられた。
そして雫が一筋頬をつたう。
「……………………好き、…………相葉さんが、好き」
小さな小さな声で告げられた。
「………………ありがとう………うれしっ…………」
そっとニノの背中に腕を回した。
俺の腕の中にすっぽり収まる身体。
大事で大事で、痛くないようにそっと抱き締める。
「…………っ…………………っ……っっ……」
そのまま動かない俺をいぶかしんで、腕の中で俺を見上げるニノ。
「何でオマエが泣いてんだよ」
言葉はいつもと同じなのに、その声はどこまでも優しい。
「…そりゃ泣くわ。
ずっと、ずーっと大好きな人と気持ちが通じたんだぞ。
好きな人に好きになって貰えたんだぞ。
幸せ過ぎて泣けてくるって……っ…」
止まらない涙もそのままに、胸にある気持ちをありのまま言った俺に、ニノは
「まったくオマエは……
しょうがねぇから、気が済むまで泣け」
優しく笑って、俺の胸におでこをすりすりとして、俺の背中に回した腕でぎゅっと抱き締めてくれた。
俺はしばらくの間、そのままポロポロと涙を溢しつづけた。
やっと、やっとつかまえたよ。
俺の天使。
つづく