お日様が傾いて、オレンジ色の夕日が窓ガラスを染め始める時間。


いつものように相葉さんがそわそわしだして、やがてほんの少し肩を落とすんだ。


それがいつもの光景。


いつもの光景……
のはずだったんだけど、その日相葉さんの視線がオレンジ色のガラス窓から離れることはなかった。


まるでそこだけ時間が止まったようにフリーズする相葉さん。


オレたちの視線は微動だにしない相葉さんを追い、導かれるように一斉に店の入り口のドアに。


そこには、いつもは映ることのない窓ガラスに浮かぶ影。


……人の頭だな。


嫌な予感、


入って来るな、入って来るな、オレは必死に念を飛ばしたけど、思いもむなしく


"ギッ"っと小さな音を立ててドアが開いた。


そして、入ってきた人。





ああ、覚えていたくなんてなかったよ。


アンタの顔なんて。


写真よりちょっと痩せて、だいぶ日に焼けてはいるけど、意思の強そうな眉に大きな目、ぽちゃっとした唇にスゲェなでた肩。


間違えようがない。


「…………しょうちゃん」


頭の後から相葉さんの声。


……そうだよな、これはどう見たって櫻井翔だ。


ずっとずっと相葉さんが待ってた……


恐る恐る振り返ると、そこには


………ひまわり………


満開のひまわりが咲いていた。


………これが相葉さんの本当の笑顔。


綺麗だ。


今までオレが見た中で一番、いや今までのなんて比べ物にならないくらい
綺麗な笑顔。


オレが相葉さんに出会って二年、一度も見たことのない笑顔を一瞬で引き出すんだな、櫻井翔。


まぁ、奪ったのもアンタだけどな。




相葉さんはカウンターを飛び出すと、入り口に向かって猛ダッシュして、あっという間に櫻井翔の元へ。


ちょっぴり恥ずかしそうに、だけど愛しさを体全体に溢れさせて、相葉さんを受け止めるべく両手を広げた待ち人に、



!!!ビターーンッ!!!


強烈な平手打ちを喰らわせた。






後編へつづく