CANIVAL NIGHT part2 【後編】


突然後ろから手を引っ張られた。


誰だ?
と、後ろを確認しようとした耳元で囁く声。


「こんな所で口開けて上見て、顔丸出しだよ」


まさか、来るはずないと思っていたソイツは、混雑にもまれるふりをして、オレにピッタリと寄り添い繋いだ手を二人の体の間に隠した。


そのまま流れにまかせてのんびりと歩いていく。


屋台を覗き込んでは


「ねぇ、たこ焼き食べる?
リンゴあめってないのかなぁ?」


なんてこの場の雰囲気を楽しんでる。


「だけど、食べ物持っちゃうと手繋げないから買い物は後でね、くふふっ」


くふふじゃねーよ


「何でここにいるんだよ!」


「何でって、約束したじゃん、花火デート」


人の流れに乗りながら気付かれないように小さな声で交わす会話。


「だけど、待ち合わせ場所ザックリ過ぎ。
超探したよ」


話してる間にも打ち上がる花火を見上げ、スゲー!なんて喜んでるし。


「だって……
俺たち別れただろ。
今日オマエ来るなんて思ってなかったし」


「へっ!」


いきなりすっとんきょうな声を出すから、側にいた何人かの人に振り返られた。


「バッ、バカ」


オレはこいつの頭に乗っかっているだけのキャップのつばを下ろして何とかその場を離れた。


河原を離れても花火見物の人達は道のそこここにいて中々人目のないところは見つからなかった。


ずいぶんと歩いて、やっと住宅街の中にあるブランコと鉄棒しかない小さな公園にたどり着いた。


ここまで来るともう花火は見えないのか、公園にもその周りにも誰もいなかった。


「で?俺たちいつ別れたの?」


まだ花火に未練たっぷりで、通りの向こうを気にしながら、初めて知ったという顔でオレを見る。


何だその顔は!………だって


「オマエもういいって、それ以上聞きたくないって、すげー怒って行っちゃったじゃないか。
それっきり、電話もメールもないし、言葉を交わすのだって1ヶ月ぶりなんだぞ。
そんなのもう別れたってことじゃな………!」


言い終わらないうちに口を塞がれた。


頭の後ろに手を回され舌を絡められて、オレは話し続けることも体を離すことも出来なかった。


誰もいないとはいえ、住宅街のど真ん中だ。
いつ誰が通るとも限らない。


最初は背中を叩いたり服を引っ張ったりと抵抗してみたけど、ますます強く抱き締められキスが深くなって、何も考えられなくなっていった。


オレの抵抗がなくなったのを見計らったように離れた唇。


オマエはニヤリと笑って


「キャンキャンうるさいよ。
くふふっ、うるさいワンコはこうやっておとなしくさせるんだよ。
俺お前の扱い方分かってるでしょ?」


ワンコって何だよ。
扱い方分かってるなら、1ヶ月も放っておくんじゃねーよ。


おもいっきり睨んでやるけど、きっと今オレの顔は真っ赤でオマエはちっとも堪えてないんだ。


「連絡出来なかったのはゴメン。
正直、俺もお前も忙しかっただろ?
もし、今寝てたらと思ったら起こすのかわいそうで電話出来なかった。
メールもLINEもお前すぐに返信くれるから、結局お前の時間奪っちゃうんじゃないかって……
だけど、仕事で顔は見れるからって安心しちゃってた」


安心してただと?
その間オレは辛くて悲しくて胸か潰れそうだったっていうのに。
悔しいからそんなこと絶対言ってやらないけどな。


「だけどさぁ」


不満そうなコイツ、今度は何だよ。


「何でそのくらいのことで別れたとか思うわけ?
俺たち何年一緒にいると思ってんの?
俺、カズと別れるなんて考えたこともないよ。
別れるなんて絶対やだからね」


そう言って笑ったコイツに今度はふんわりと抱きしめられた。


だから、人が…………って


もう、いいや。


オレだって金輪際オマエと離れる気はない。


そっと背中に腕を回した。


その時、コイツの肩ごし
住宅の屋根の上に小さな花火が見えた。
建物に隠れて半分だけだけど。


「花火見えるよ」


ん?と少し体を離してオレを見る、その肩を回して横に並んだ。


しばらくひとんちの屋根を見ていると、小さな花火がその屋根の上に顔を出した。


遅れてドーンパリパリという小さな音。


隣でくふくふと笑うオマエを見上げる。


オマエもオレを見て


「来年もまた来ようね」


と、やっぱりくふくふと笑った。


「そんな簡単にスケジュール合わせられねーよ」


と、口では言いながら、
まずはマネージャーの懐柔、それから……



オレは来年のこの日のための策を練りはじめた。





おわり




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終わりましたー。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
また今回【夏嵐】に参加させて頂きありがとうございました。
準備期間が短く←ギリギリまで諦めてたから
(詳しくは後書きで、後程アップします)
バタバタでしたが楽しかったです。
これからみなさんの所にお邪魔させて頂こうと思っています。楽しみ(*^^*)
改めまして、こんな拙い辺境ブログにお越しくださりありがとうございました。

                                                           深謝     アイ