トナカイ智がいないことに気付いたトナカイにのがキョロキョロと辺りを見回すと、一人遅れたトナカイ智がオーイと手を降り、息を切らせて丘への坂道をかけ上がってきました。
普段、滅多なことでは態度の変わらないトナカイ智がこころなしか興奮しています。
「どうしたの?リーダー」
「今、本部に、呼ばれてたんだけど……」
トナカイ智が息を切らしながら続けました。
「今年の年末最大のイベント……
司会を、トナカイ雅紀にって…」
!!
「エエッ!?」
一同が目を見張りました。
「年末のって、サンタの国をあげてやる、あの?」
「そうっ!」
「すげー!」
「やったな!まー」
みんなが口々に歓喜の声をあげますが
トナカイ雅紀は青い顔をして、後退りしてしまいました。
その肩がふるえています。
「……そんな大役……オレ…出来ないよ」
みんなが言葉をなくし、トナカイ雅紀に注目しました。
そんな中、翔サンタがゆっくりとトナカイ雅紀に語りかけました。
「このイベントはこの国最大のイベントだ、失敗は出来ない。
その司会にトナカイ雅紀をって言ってくれた。
トナカイ雅紀の普段の仕事を見ていてくれた人が本部にいたんだな。
オレはそれが嬉しいよ」
「しょーちゃんサンタ……」
「出来ない奴を本部は選んだりしないよ。
お前はちゃんと出来る」
翔サンタはまっすぐにトナカイ雅紀の目を見つめています。
トナカイ雅紀はその目が離せず、でもフルフルと小さく頭を振りました。
「だけど、決めるのはトナカイ雅紀、お前だ。
断ったっていいんだよ。誰も怒ったりしない」
みんなが翔サンタの言葉に頷きました。
「お前の後悔しない方を選べばいい」
「後悔しない方?」
トナカイ雅紀が潤んだ瞳で翔サンタを見つめました。
しばらくして
「……後悔…する…
オレ…怖いけど…すっごく怖いけど…
でも、
もし断ったら、一生後悔すると思う」
トナカイ雅紀はその目元をグイッとぬぐいました。
「オレ、司会、やる!」
顔をあげたトナカイ雅紀の瞳はキラキラと輝いていました。
「雅紀」
「まーくん」
「まー」
「相葉ちゃん」
みんなの顔もキラキラ輝きました。
「だけど、不安だから、みんなオレのこと助けてくれる?」
「しょうがないから、フォローしてやるよ」
トナカイにのが目尻に涙をためながら言いました。
「何でも協力するから。あっ、体調管理はまかせて」
潤サンタがトナカイ雅紀の背中をポンポンとたたきました。
「うん!ありがとう」
トナカイ雅紀がみんなに向かってニッコリ笑いました。
それは、
トナカイ雅紀らしい、太陽のような笑顔でした。
その光景をトナカイ智がふにゃんと笑いながら見ていました。
つづく