原子力潜水艦クルスクは軍事演習のため出航するが、搭載していた魚雷が暴発する。
司令官ミハイル・アヴラン(マティアス・スーナールツ)は、爆発が起きた区画の封鎖を
指示し部下と共に安全な艦尾へ退避するが、艦体は北極海の海底に沈み乗務員118人の
うち23人のみが生き残る。
一方、異変を察知したイギリス海軍のデイビッド・ラッセル准将(コリン・ファース)が
救援を申し出るも、ロシア政府は軍事機密であるクルスクに近づけようとしなかった。
艦内の酸素が減っていく中ミハイルは仲間たちと共に家族のもとへ帰る希望をつなごう
とする。ロシアで2000年にあった実際の事故をモチーフににした海洋パニックもの。
時代背景を見ると、このときは、プーチンが首相から大統領となり、おかげでロシアが
発展したと国際的に認められていたころ。実態は給料の遅配や、軍人の家族でさえも
誰も車を持っていない状況だったことが描かれている。 この映画では、ロシアと言う
国のどうしようもないお役所体質と、それでも懸命に仲間を助けようとする(世界共通の)
軍人同士の絆が対比される。 最後まで救助が来る事を信じて、軍人の誇りを失わなかった
乗組員たち(当然創作だが)、それに引き換え、保身と見栄の為に本当に「見殺し」にした
上層部。ちょっと前隣の国で沈没したフェリーの事件と比べてしまう。
この時も日本の救助提案を(多分見栄のために)断った大統領が居た。多分、同じ病理を
持っているのだろう。違いは軍の強さだけだろう。
ウクライナで起きていることの根本に「見栄と保身」がある
のではないかと思わせる貴重な映画。ロシアと言う国を理解すためにも必見。

今のロシアの状況とダブって見えてきて、その”体質”に心情が大きくかき乱されていきます。
ラストシーンが唯一の救いです。 ☆☆☆☆