結婚して50年が経過し、亭主関白な夫・勝(藤竜也)と共に3人の子供を育て上げた有喜子(倍賞千恵子)は
猫のチビと平穏な暮らしを送りながらも、ある不安を抱えていた。ある日、有喜子が娘の菜穂子(市川実日子)
に離婚を考えていると言いだし、菜穂子は動揺する。そんなとき、有喜子の心のよりどころだったチビが姿を
消してしまう・・・
女房に靴下を脱がせてもらっているような男なんて、もはや絶滅危惧種ではないでしょうか? 思いっきり「昭和」?
と笑って観つつも、子供が独立した後は夫婦二人の生活が待っているわけで、 人生80年とすると、意外と長い時間を
二人で過ごすことになる。しかも、若い時と違ってお互い歳を取って身体にガタがき始めるわけだし、まさしく二人三脚
のパートナーになっていくのだな・・・・と、考えさせられる作品でした。さて、本題に入ります
チビ(黒い猫)がいなくなった事で改めて夫婦がお互いに向き合う作品です。もし、そのキッカケが無かったら?遠慮
と誤解のまま離婚もあり得たかもしれないと思うと不器用さが恐ろしいです。 きっとホントは、子供が巣立つタイミング
で「父親とはこうあるべき」「母親とはこうあるべき」の呪縛から解放されて、二人の新しい関係を作っていくべきだった
のでしょうね。 老後はお互いにサポートが必要なのだから、“お父さん”だって弁当を作っても良いんだし。
「男子厨房に入るべからず」なんて、今の時代にはありえない事かもしれませんが パートナーとの生活において、ライフ
スタイルが変わるごとに関係性も変わっていく事は大事だと感じます。まあ、この夫婦二人の不器用さには?
実際こんな親父は昔は居たのでしょうが最近は聞かないな~ 藤竜也が演じると昭和農場頑固親父はどこかお茶目でユーモラス。
逆に倍賞千恵子は『小さいおうち』2014年作品に続き、隠れた女の業がたまりません。そして三兄妹が息ピッタリで
笑えました。 お布団を準備しながらの会話や、目配せのやりとりは、子供の頃が見えるようでした。
お鍋で父親が張り切ると、昔からこんな家族だったんだろうなぁ。と思えます。
親と子供の変わらない関係がある一方で、母親と成人した娘が女性同士の関係になっているところもリアルでした。
我が家だったら お父さん、あんこときなこがいなくなりました か? この年齢でも倍賞さんが可愛く見えます ☆☆☆★