オスカルとユスーポフ侯の記事で、下記の場面を取り上げた折、そーいえばフェルゼンて分かってねーなー

子ども心に思った記憶を元に書き連ねてみる。





フェルゼンは基本的に【良きサマリア人】的な人なんだと思う。困っている人に寄り添い、助けることのできる人。公明正大な善人というんですかね。


しかし善人とは時に悪人ともなるというか、善であるが故に気遣いの嘘をつくことが出来ない人と思ってます。




フェルゼンが、オスカルの女装(?)を確かめる場面。
これね、フェルゼンがオスカルの気持ちを認識せざるを得ないというドラマ的な理由は分かるんですが
それでも何故気づかないフリをしてあげられなかったのか、と思ってしまうんですよ。
 

本当にオスカルを気遣うのであれば、あのときの貴婦人はオスカルだった、ということはフェルゼンだけが分かればいいのであって、気づいたことをオスカルに悟られないようにする、それが本当の気遣いだと私は思う。

 
もう少し確かめようがあっただろうっつーか。
そっとアンドレに訊くとかさ。
オスカル本人に確認してやんなよー。


うかつな……とか言ってるけど、
お前がうかつなのはオスカルの気持ちに気づかなかったことじゃない。
オスカルの恋心に気づいたことを本人に悟らせてしまうやり方を取ったことだよ!!


とか、子ども心に思いました。



そして冒頭のフェルゼンのセリフ
氷の花のように男性のまなざしを拒む…
とか言ってますが、そうだろうか。
これも子どものころから疑問に思って読んでました。



1巻から既に相当怒っているし


2巻でも怒髪天。


決闘騒ぎまで起こす。 
しかし、正にこの親にしてこの子ありだな滝汗



更には、ちきしょう発言も仰いますし


ドレス着ては悪態付くわ


酒場では乱闘騒ぎを起こす
(基本売られた喧嘩は買う人なのね…)



4巻でも怒り心頭。



珍しく大笑いのオスカルさまもあれば


大勢の男相手にもまたケンカ買うし

しかし凄むとめっちゃ怖ええ




という感じで、オスカルには 氷 ってイメージ無いんですよね。
むしろ大変感情豊か。



男のまなざしを拒んでいたのは、多分オスカルはフェルゼン好きだったから、逆に必要以上フェルゼンを突き放すよう接してただけじゃないかと。
意識する異性には冷たく接しちゃうってヤツです。 
ツンデレか!!



あと、オスカルが感情を表す場面で必ずアンドレが居るのが印象深いですよね。
笑えるくらい毎回居る。


池田理代子がいつからアンドレをオスカルの相手役に決めたのかは分かりませんが(恐らく黒い騎士の辺りだったと思うが)、オスカルの感情を毎回こんなに受け止めていたら、そりゃアンドレがオスカルの彼氏にもなるわ、と思います。



私がオスカルとアンドレの二人絡みでいちばん好きな場面は、実はここ。7巻の告白シーンや8巻の初夜場面よりここが好きです。
二人ともすげー可愛いし微笑ましい。
つーか、この二人の真剣なラブシーンはどれも照れてしまって直視できないんですよー笑い泣き
フェルゼンとアントワネットは平気なのに何故だー。



フェルゼンもね。
こんなオスカルの姿を見ていたら、意外とオスカルに惚れたんじゃないかなって思うんですよね。
オスカルがフェルゼンに見せていたのは、強く佇む毅然とした姿だけでしょう。そりゃフラれますがな。
オスカルはフェルゼンとダンス踊る前に、一度中島みゆきの「それ以上言わないで 」でも聴いといたほうが良かったと思うの(無理言うな)。



フェルゼンとオスカルが親友というのも違和感があって、私としては「親友」ってのはオスカルとアンドレとか、プラスしてロザリーとか、アンドレとアランとか、そういうイメージなんすよね。
フェルゼンオスカルは腹は割って話してるんだけど、本当の弱味を見せてない気がするんだな。主にオスカルが、だけど。



フェルゼンとオスカルが親友であるとすれば、真に親友になったのは、この場面からではないだろうか。



このときのオスカルは、本当に弱い、縋るような表情をしている。弱さを見せたオスカルを、フェルゼンはここで初めて見たんじゃないだろうか。


フェルゼンに恋心を見抜かれたときもオスカルは弱い顔を一瞬見せるんだけど、フェルゼン目を伏せてて見てねーんだよ!!

間が悪いったらありゃしねえ。


この弱さをフェルゼンにもっと早く見せていれば或いは…(こんなこと書くとアンドレに殺されそうですが)
フェルゼンって古典的な、姫を護る騎士道の人ですからね。オスカルもどっかで護られて欲しかったのよフェルゼン。


もっともフェルゼンも良くも悪くも可愛げがないっつーか、史実のように超シスコンとか実はぢ持ちで悩んでたとか、意外と面白い奴だなお前!! みたいなエピソードがあると良かったなあと思うんですけどねえ。



そんなニブいフェルゼンですが
晩年、心冷たい為政者となって虐殺されたフェルゼンの命日は、ヴァレンヌ逃亡に失敗した日と同日なんですよね。
偶然とは思えなくて、フェルゼンは、敢えてその日を選んで危険が潜む街中に出て行ったのではないだろうか(外伝エピソードではそういう示唆がされてましたし)。


また色々書きましたけど、そういう律儀なフェルゼンはやっぱ嫌いになれないし、オスカルもアントワネットも惚れた理由は分かるなあって思ってます。