質問:「あるブログでは、エレニン彗星は消滅したと書いてありました。またあるブログでは、まだ消滅していないと書いてありました。いったいどっちが本当でしょうか?」
回答:「まだエレニン彗星は消えていません。今日現在(9月13日)では、9月11日まで観測されているのを確認しました。しかし、だいぶ暗くなっていますので、今後見えなくなるでしょう。」
エレニン彗星の今:
エレニン彗星が暗くなった件については、アメリカの老舗の天文雑誌SKY&Telescope のWEBサイトで取り上げられています。2011年8月30日の記事です。
「Comet Elenin Self-Destructs」
http://www.skyandtelescope.com/community/skyblog/observingblog/128708798.html
上の要約です。
4月から順調に光度(明るさ)をあげていた、エレニン彗星も、オーストラリア在住の彗星観測者 Michael Mattiazzo の観測によると、8月20日から21日かけて光度が半分になり、中心の明るい部分が拡散されていることがわかりました。おそらく、核が分裂しこれから衰退していくだろうと予想されています。
そして、Michael Mattiazzoさんの観測が載っているWEBサイトは、ここです。
「Southern Comets Homepage」
http://members.westnet.com.au/mmatti/sc.htm
エレニン彗星の最後の観測では、9月11日の分があります。非常に、薄い(淡い)像です。おわかりになられますか?
Michael Mattiazzo氏撮影
C/2010X1 Elenin
撮影日時 2011年9月11.39日(世界標準時)
「目で見るのではなく、 心眼で視るのだぁー」
以上、空の上のお話でした。
次に地上の話に目をむけると・・・・
エレニン彗星消滅:
ところで、日本のブログを見ていますと、8月30日ごろから「エレニン彗星消滅!!」 という記事が多く出回るようになりました。
この彗星による災厄を本気で心配していた人は、胸をなでおろしたことでしょう。
ところが、その後、9月にはいって、海外から、エレニン彗星の別の画像がはいってきて、えー、エレニン彗星どうなっているの~という声が、これまた多数あげられました。そうして、現在(9月13日)まで、どうなっているの?どうなっているの?が続いているわけです。
それでは、なぜ、「消滅」 と、誤解がひろまったのでしょうか?
ちょうど私は、その直前から「エレニン彗星」「エレーニン彗星」というキーワードで検索を行い、この彗星についてどのような話題があがっているか、調査、といっては大げさで、眺めていました。対象はブログのみで、ツイッターやWEBサイトはみていません。
8月30日になって、アクセス数が多く、読者に対して影響力のありそうなブログが、「消滅」という言葉を使って記事を書き始めました。
そのうちのひとつを紹介します。タイトルの画像です。一部モザイクをかけています。
ここまで堂々書いてあれば、そりゃ信じちゃうよねー
上で書きましたように、8月31日時点では、まだエレニン彗星は消滅していません。事実と異なるタイトルになっています。おもしろいことに、記事の中で、海外のサイトを訳してあるのですが、その日本語は、「彗星自体が分解と消滅に向かっているようだ。」と正しいのですよ。それをどうとらえたのか、このブログの作成者は、(すでに)「消滅した」と書いています。
これは影響力があったブログらしく、その後、このブログを読んで、「エレニン消滅」と書くブログが増えだしました。ブログに限ってみれば、このような経緯で広がった、と考えます。
私は、これはまた、混乱、誤解の元になるなと思い、2,3のブログのコメントに、「いや、まだ消えてないよ」 と、観測記録があるサイトの情報も含めて教えてあげました。ただ、上のサイトは、コメントもメッセージも受け取らない設定になっており、ついぞ教えてあげることができずにいます。
だいたい、この「消滅」という言葉自体、誤解をうけそうな表現ですね。ここで、あらためて、辞書で「消滅」の意味を調べてみましょう。使用した辞書は、「チャレンジ小学国語辞典 第四版 新デザイン版」です。
しょうめつ【消滅】 消えてなくなること。
辞書を引く意味がなかったようです。一般に、「消滅」という言葉は、跡も残さず、きれいさっぱり、そして、いきなり、なくなるようなことをイメージさせます。
天体が、そんな簡単になくなるなんて、どうして? 、と思うのが普通の人の反応でしょう。さらに、オカルト好き 想像力豊かな人は、きっと、未知の力(神様とか、惑星ニビル)がはたらいて、消滅したに違いない、とまで思うことでしょう。そこも私が恐れたことでした。
私もコメントにかくときは、「消滅」とは書かずに、「衰退して」、「暗くなって」、という表現にしました。(あまり、インパクトがありませんが)
さて、いったん広まった「消滅」のうわさは、こわいもの知らずです。私が「消えてないよ」と書いたコメントに、「数多くの記事で書かれているので、てっきり本当のことだと思った。」とブログの主から返事がありました。
一方、「消えていない」ほうのブログは数が少なく、やはり内容にインパクトがないので、うわさを覆すほどにはいたっていません。
さて、そろそろ結論にもっていきます。このような、うわさにだまされないためには、
1)信頼のおけるサイトの情報を見にいく。
天文の一般的なサイトとして、 国立天文台( http://www.nao.ac.jp
)と アストロアーツ(http://www.astroarts.co.jp
) をお勧めします。
2)一次情報を調べる。
今回は、「Southern Comets Homepage」
がこれにあたります。情報源へのリンクがあったら必ず行って確認すること。英文という壁がありますが。
(ルポライターの人の仕事の話を聞くと、徹底的に一次情報にこだわって集めるそうですね。)
が大事です。(結局、当たり前の結論かぁ~)
うまい「オチ」がないのですが、今回はこういうところで、おしまいです。
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