質問:「大変です!!・・・と言っても、答えはもう予想できていますが、でも一応質問しますね。」 「大変です!!エレニン彗星が急カーブをしたそうです。普通、彗星は急カーブをしませんよね?」
回答:「答えが予想できているなら、質問しなくてもいいじゃないですか。でも一応答えておきますね。」 「これは、予測された『見え方』です。何ら不思議なことではありません。」 |
~解説~
この話題は、もう2ヶ月以上前の話で、もうすでに「不思議!」や「謎!」の話題は別なものに移っています。
今の時代、噂やウソを広めるのは簡単ですが、それらを否定するため、誰でもわかりやすいように検証するのは、資料をあつめたり図や表をつくったりして、骨がおれるものです。この「非対称性」は、どうにかなりませんかね~
おかげで記事にするのがこんなに遅くなりました。(言い逃れ度50%)
と、愚痴を言ってばかりでは、つまらないので、さっそく始めましょう。
いつものように・・・問題の動画は、2011年9月2日に投稿されたこれですね。
これは、地球と「同じ軌道」をまわっている、STEREO BというNASAの探査機によって撮影されたものです。期間は、2011年8月22日から、8月30日にかけてです。見てのとおり、星々の間を動いていくエレニン彗星が捉えられています。この動画は、おそらくNASAのSTEREO探査機のWEBサイトから静止画を入手し、つなぎあわせてつくったものではないかと思います。そのWEBサイトはこちらになります。
「Search for STEREO Images」 http://stereo.gsfc.nasa.gov/cgi-bin/images
YouTubedeでは、他にも似たような動画が見受けられました。
そして、これらの動画を紹介したブログでは、判で押したかのように、このような解説が書いてありました。YouTubeに書いてあったコメントを訳したもののようです。
1)エレニン彗星が、急カーブをした。
↓
2)彗星は、普通急カーブをしません。
↓
結論:だから、エレニン彗星は、災いをもたらす特別な彗星である。
結論については、書いていないのもありましたが、他の文で、暗にそんな感じをにおわせるような書き方でした。エレニン彗星が宇宙船じゃないかという話もここからでていました。
この動画が出た時期が、2011年9月2日というのもインパクトが大きかった理由でした。なぜなら、8月末は、「エレニン彗星は消滅した」という噂が広まっていた(そして、皆、安心していた)時期だったからです。
本当は、「急激に暗くなっている」という観測情報を、誰かが、故意かどうかわかりませんが「消滅した」という情報にすり変えて広めてしまっていたというのが事実です。(この件、第3話にかいています)
エレニンが、なくなったと喜んでいたのもつかの間、突然現れ、そのうえ「急カーブ」もして見せたので、みんな、え、えーとなったのでした。
さて、詳細な検証に入る前に、上に書いた、1)、2)、そして、結論)を、もう一度見てみましょう。すでに、これらの文は、十分に怪しいのですよ。
まずは、
1)エレニン彗星が、急カーブをした。
ここで、「急カーブ」って何?という疑問がわき起こります。以前の記事で、「直列」を話題にしましたが、それと同じことです。「急カーブ」の意味が全く曖昧です。これが自転車や、車など日常のものだったらわかります。「車が急カーブをしたよ!」と言えば、だいたい他の人にも伝わります。
しかし、この対象は地球から1億kmも離れた天体です。時間や距離のスケールが日常のものではないため、このような言葉を使うには、きちんと定義する必要があると思います。逆に、定義しない曖昧な言葉でお茶を濁しているようでしたら、それは信用するに足りません。戯言です。
2)彗星は、普通急カーブをしません。
これも変です。というか、情報が足りません。なぜ、彗星は「急カーブ」をしないと言い切れるのか、それを説明していません。まるで「つべこべ言わず、俺の言うことを聞け!」と言っている、ジャイアンのようですね。
結論)だから、エレニン彗星は、災いをもたらす特別な彗星である。
1)2)が、ダメダメなので、そこから、もたらされる結論)は、まったくあてになりません。はい、おしまい。
さて、これからどうやって進めましょうか?
こうやればよいのです。
「エレニン彗星の予測される動きを調べ、実際に観測された動きと比べる。」
奇抜な答えを期待した人、なーんだ、当たり前のことではないか、とがっかりしないでください。当たり前のことをやらずに、騒ぐだけ騒ぐ人やブログが、なんと多いことか。
実際それをやる技術(スキル)がない人もいるでしょうが、それならそれで、「確かに曲がったかのように動いているけど、予測された軌道と比べてどうなの?」と疑問を出してやってください。そしたら、「お、それなら、俺がひとつ計算やってやるかー」と身を乗り出してくる奇特な人がいるかもしれません。
そんな人やブログがないものですから、私が仕方なくやることになってしまったのですよ。そして、一回乗りかかったら、とことんやらないと気がすまないんですよ。なんとも因果な性格ですね~、とまた愚痴を言ってしまっています。
はい、動画ではどのように動いたか、わかりづらいので、エレニンの動きがわかる合成画像を用意しました。これです。
STEREO_Bの画像を調べると、2011年8月15日から9月1日まで、エレニン彗星が写っていました。これらの画像から毎日0時近くの画像18枚を使って、合成したのが上の画像です。
「合成した」と、一口で言うのは簡単ですが、これがなかなか手間がかかっています。画像から手作業で、エレニンがうつっているところを切りだして、ベースの画像の上に、星の位置を参考にしながら、正確に載せていきます。また、明るさがまちまちなので、その都度明るさを調整しています。
「ステラナビゲータ」で計算した地球から見たエレニン彗星の位置。
さあ、これらを見比べてみましょう。答えは当然、一緒になっています、ですよね。
あれ?う、うーん、何か違うぞ!!
違っているぞ、
(゚Д゚) ナンジャコリャ-
~種明かし~
はい、ごめんなさいね。ちょっといたずらをしてみました。
これまで、私のブログをずっと読み通していただいている、ほかにやることがない暇な人、根気強いといえば聞こえはよいが、どうでもよいことに熱中してしまう人、熱心な読者の方であれば、もうかなり疑り深くなっている科学的懐疑主義
なものの考え方を身につけているはずなので、なぜ一致しないのか、このからくりに気づかれているかと思います。
そうです、上の画像は、STEREO-Bから撮ったもの、下の予想図は、地球から見たものと、違う「場所」から見ているのです。動きが合っていなくて当たり前です。
上の文章で、私は、STEREO-Bは、「地球と『同じ軌道』をまわっている」と書きましたが、「地球と同じところにいる」とは、書いていないのですよ。実は、だいぶ離れたところにあるのです。
ここは、引っ掛けをねらったところだったのですが、どうでした?うまく引っかかってくれました?
では、STEREO-Bから見た、エレニン彗星の動きはどうなっているか、ちゃーんと計算したものがありますので、お見せします。(この図を作るのも大変でしたが、それは後で書きます。)
これと、実際に撮影した画像を重ねて、比べてみましょう。
どうです。予測と撮影画像が非常によく一致しているということが、おわかりになったかと思います。
つまり、「予想通りの動きで、不思議な動きをしているわけではない」と言えます
じゃあ、どうして「急カーブ」しているかのように見えるの?という疑問につきましては、この後に書くと長くなりますので、次の記事で説明しましょう。
つづく
※皆様のご感想、ご意見をお寄せください。そのときは、コメント欄からお願いします。(私の承認後に表示されます)
アフィリエイトがまだになっていましたね。
今回、天然あっこさんへの返事のコメントを書いていて、あらためて、「他人に本当に伝わる文章(記事)とは何か?」と考えなおしていました。そんなとき、見つけたのが、この本。ご紹介しますね。
- いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)/堀井 憲一郎
- Amazon.co.jp
ブログやツィッターなど、個人が自分の意見・主張を、全世界に気軽に発信できる世の中になってきているけど、本当に伝わる文章になっているのか?作者の独りよがりになっていないか?それよりも、伝わる/伝わらない以前の話として、最後まで読んでもらえる記事になっているのか?
筆者、堀井さんは、それに対し、NO!!と言っています。あからさまには書いてないけど、彼の意見は、大部分のものは、そんなことお構いなしの記事ばかりだと暗にいっています。
そして、少なくとも、読んでもらえるためには、こう、こうするんだと週刊誌の記事作成で鍛えられた、実践的な手法、考えを明かしてくれています。
私も、このようなエレニンの一連の記事を書き出して、なんとなく堀井さんの言うようなことには、うすうす気づいていたのですが、この本を読んで、後ろ盾を持ったような気持ちです。
人に伝える文章(記事)が、なぜかうまくいっていないな~と思う人は読むべきです。
しかし、文章(記事)を書くことは、なんと逆説に満ち溢れていることか。
曰く
「文章で自己表現はできない。」
「書き出して、当初の予定からはずれ、暴走する文章こそがおもしろい」
「ある特定の個人を読者と想定して書かれた文章こそが、万人に受け入れられる」
「万全の用意、時間の中で書かれた文章はおもしろくない。」
「名文 = 伝わる文章 ではない」
などなど。
こういった逆説を並べて見ると、文章というか文字というか、それを書き出す人の行為、その中には、もっと奥深い「何か」があるのでしょう。
もっとも、ブログやツィッターの目的が、「人に何かを伝える」ものだけではなく、なんとなく、まったりと、だべっているコミュニティーをつくりたいというのもありますので、それはそれで、気にしなくて好きなように書いていれば、良いのです。
このページの修正履歴
2011/11/12 新規作成
2011/11/14 追加
2011/11/15 ちょっと修正
2011/12/11 アフィリエイトを追加





















