奈良県は、奈良公園を中心に多くのシカが生息していることで知られていますよね。
シカは奈良のシンボルであり、「神鹿」として古くから崇められてきました。
しかし近年、シカと人間との関係に様々な問題点が浮かび上がっています。

一つは、シカの過剰な増加です。

シカは鹿せんべいなどの人間からもらう餌によって栄養状態が良く、自然の敵も少ないため、繁殖力が高まっているのだとか。
その結果、シカの数は適正な水準を超えていて、食物が不足すると周辺の農作物や樹木を食べてしまうことがあるそうです。
これは、農業や林業に大きな被害をもたらしていることでしょう。

もう一つは、シカの人間への攻撃です。

シカは基本的に臆病で温和な動物なんですが、鹿せんべいを欲しがって人間に近づいたり、繁殖期にオス同士で争ったりするときに、人間に角や蹄で傷をつけることがあるのだとか。
特に子供や高齢者は危険にさらされやすいので注意が必要ですね。

これらの問題点に対処するために、奈良県では様々な対策を講じているそうです。
例えば、シカの数を調整するために捕獲や避妊手術を行ったり、農作物や樹木を保護するために柵や忌避剤を設置したり、シカの攻撃を防ぐために角を切ったり。
また、観光客に対しては、「鹿せんべいの与え方」や「シカとの接し方」を発信したり、看板やパンフレットを配布して注意喚起したりして対策しているそうです。

奈良県のシカは貴重な文化的・自然的資源ですが、同時に多くの課題を抱えています。
シカと人間との共生を目指すためには、両者のバランスを考える必要がありそうです。