どうも、続きです。
前の記事では、強姦裁判の記事を3件読んでいただきました。
そもそもの話ですが、強姦罪は親告罪と言って、訴えるかどうかは被害者の意思にかかっています。
これは被害者のプライバシーを守るためだったり、過去の民法の影響などもあるのですが、
警察に訴える人は非常に少ないといえます。
(内閣府の調査では、警察に相談した人は4%です。相談と告訴は違うので、告訴した実数はもっと低いといえます)
そして、警察に行ったところで、次は告訴へのハードルがあります。
とくに顔見知りからの犯行は、告訴するのが難しく、受理されないケースも多いと聞きます。
「レイプは見知らぬ他人からなされるもの」というイメージが警察にも検察にもあるからです。
(なので、先の親類からの事件と、母の内縁の夫からの被害のケースは、告訴するまでに、相当綿密な聞き取りがあったと思います)
そして、検察は、「勝てる裁判」でないと裁判したがりません。
この時点で、「嘘」の被害はほぼ見破られるといってもよいと思います。
なのに、なぜこのように裁判で負けるケースが出てくるのでしょうか。
それは、裁判が、「被害があったかどうか」ではなく、「有罪判決が出せる線を越えているか」で図られるからです。
暴力・脅迫要件といいます。
「ナイフで脅す」ことは明らかに脅迫ですよね。第三者が見ていてもはっきりわかります。
でも、時にはナイフを使わなくても脅迫することはたやすいのです。
そして、世の中のほとんどのレイプはナイフを使わずに脅され、
被害者は命の危険さえ感じて被害を受けています。
DVでもみられますが、実際に殴られなくても、目の前で壁を殴られたり、物を壊されたり、子どもやペットに危害を加えられたり、「家族に危害を与える」と言われたら、殴られる、もしくはそれよりも大きな脅威を感じます。
大人でもそうですから、小さい子どもなど、コントロールしやすいことが想像できますよね。
内閣府が行っている、「女性に対する暴力」の調査 でも、レイプをした加害者は、
全く知らない人 14%
面識がある人 76%
とあり、8割近くが顔見知りからの犯行という結果が出ています。
面識がある人の内訳は、
配偶者35.5%
親2.2%
兄弟5.4%
その他親戚4.3%
職場25.8%
学校7.5%
とあります。
配偶者、親、兄弟、親戚を足すと約48%。
日本のレイプ被害のほぼ半数が、家庭内で行われているという事実に驚きます。
そして、学校と職場で34%。
被害に遭った女性は、安心して自分らしくいられる場であるはずの家庭や職場・学校などが奪われています。
このように、被害は顔見知りからのものが圧倒的に多いこと、そして、家庭内や職場、学校など、力関係がはっきりした中で行われることが多く、力や権威を持ったが存在する場では、さまざまな脅しがナイフよりも有効な場合が多いといえます。
先の事件の被害女性も、脅されて言うことを聞かされていたと仮定するなら、一緒に外出しているのも、上半身裸で写真を撮っているのも、合点がいくことですが、裁判所はそういった「無形の脅迫」をあまり認めようとしません。
殴られたりナイフで脅されたり、「どうしても逃げられない状態」でないと有罪判決を出そうとしません。
これは日本の裁判の判例からも明らかです。
なぜなのでしょうか。
裁判官が「逃げようと思ったら逃げられただろうに、言うことを聞いたのは望んでいたんだろう」とポルノの文脈で事件を読み取っているのか、それとも「これで有罪にするのは過去の判例からみても、“信ぴょう性”が足りない」と思っているのか、はたまた両方なのかわかりません。
ただ、少なくとも、「女性の実感」レベルで裁判の線が引かれていないのが問題なのだと思います。
公園で被害に遭った少女は、
「被害の核心部分なのに、犯人の言動やナイフをどちらの手で持っていたのかなどについて具体性に欠ける」と言われています。
裁判官の言うことは妥当でしょうか。
考えてみてもください。
命の危険を感じて、コールドパニック(叫びださず、凍りついてしまうこと)を起こしている時に、ナイフをどちらの手で持っていたか、明確に覚えていますかね。
「公園で話しかけられて、雑談をしていた見知らぬ男性」を、15歳の少女が強姦罪で告訴するなんて、常識的に考えてもありえないことくらい、裁判官も分かっているはずです。
でも、裁判官ひとりひとりの問題で語るのは得策ではないと思います。
「世論をくみ取りながら過去の判例の中で裁判を行う」というシステムの中で今後も性暴力裁判がおこなわれるのだとしたら、これからも不当判決がおりるケースが生まれ続けるでしょう。
だからと言って、過去の判例が塗り替わるくらい、有罪判決が増えるのを待つのは時間がかかりすぎます。
現在、日本で新しく「性暴力禁止法」をつくろうという動きが始まっていますが、このような新しい法律を作る必要があるのだと思います。
しかし、法律を作るのには、一定の民意が必要です。
活動だけじゃなく、全体の関心も上がっていかないといけません。
そのためにも、ぜひ、こんな話が普通にできるようになることが必要だと思います。
声をひそめないと話せない内容ではなく、人権や安全の問題として、テレビや新聞、職場や学校、友人と話すことが大切なのだと思います。
ぜひ皆さんも話してみてください。
DV防止法も、20年前は夢のような話でした。
より安全して暮らせる日本にするため必要な法整備が整うように、やれることをしていきたいと思います。
そして、1日も早く、被害に遭った女性の悩みや苦しみが和らぐ日が来ることを願います。
もっとこの問題について考えたい・話したいという方は、ぜひこちらの講座にご参加ください。
● 日時 2011年5月24日 (火) 18 時30分~21時
● 場所 ドーンセンター・中会議室
(大阪府男女共同参画・青少年センター)
● 講師 段林和江さん(弁護士)
● 会費 700円
*維持会員の方は無料です。
*参加は女性のみ。
事前申し込み不要。直接会場にお越しください。