サバイバーズ・ハンドブック―性暴力被害回復への手がかり/性暴力を許さない女の会
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これこれ。
この本を紹介するのを忘れていました。
これは大阪で活動中の「性暴力を許さない女の会」
という
団体が発行している本です。
『サバイバーズハンドブック』というタイトルですが、
この場合の「サバイバー」というのは、
性被害をうけたことのある人をさします。
「サバイバー」について
普通、犯罪に遭った人のことを私達は「被害者」と呼びます。
アメリカでは「ヴィクティム(犠牲者)」と呼ばれていました。
しかし、この呼び方、確かに彼女・彼らは
被害者であり犠牲者ではあるのですが、
被害当事者にとっては受け身的な呼び方だとお気づきでしょうか。
まぁそれもそのはず。
この言葉が使われるときは、「犯罪」が主眼におかれ
その犯罪の被害者「Aさん」として扱われるからです。
それに対し、「サバイバー」という呼び方は、
被害者「Aさん」としてではなく、
犯罪をうけ、それから「生き延びた」という主体性に
着目した呼び方です。
たかが呼び名です。
でも、呼び名はその人に力を与えることがあります。
「ホモ」から「ゲイ」へ。「オカマ」から「オネエ」や「クィア」へ。
誰かから強制的に名付けられた名前ではなく、
自分で名前を選び取ることは、
その人のエンパワーメント(その人のもつ力を引き出すこと)
になります。
本書の特色
まず、「性暴力のサバイバー」の為にこれほどフォーカスして
書かれている一般向けの本は、これ以外見たことがありません。
この本を発行している「性暴力を許さない女の会」については、
以前イベントの際に軽く紹介しましたが、
20年近い活動実績を持つ、
性暴力被害者への電話相談・裁判支援を行う団体です。
電話相談では、幼い頃に被害に遭ったという相談から、
つい先日の性被害の相談まであると言います。
四半世紀近くそんな相談に応えてきたバックボーンは、
本書のつくりからも伺えます。
本書は、「あなたの生活の安全は守られていますか?」
という節から始まり、
『「性被害に遭ってすぐの人」が読んですぐに役立つよう』
設計されています。
その次は「あなたは悪くない。悪いのは加害者です」
というメッセージが続き、
病院にいってダメージを防ごうというアナウンスが入っています。
なんだかこれだけで感動してしまうのは、私だけでしょうか?
被害に遭った人に寄り添いたいという、
作り手の思いが溢れています
そして、それからは法律の話に移ります。
何のために法律を活用するのか。
訴えるにも民事と刑事があることや、
裁判のメリット・デメリットを説明しています。
そして、決して「泣き寝入りをせず、訴えよう!」とは
言っていないことが、この団体の特徴でもあります。
なぜなら、「泣き寝入り」をしないと、
自分の心を守れないことだってあるからです。
訴訟や裁判は確かに必要かもしれませんが、
現状の法律では、サバイバーの女性の味方にあった
法の運用がされているとは言えない部分があります。
そして、回復のペースと、裁判のペースは必ずしも一致しません。
被害に遭って「一日も早く忘れたい」と思う心情と、
裁判のある度に思い出し、引き戻される体験は
サバイバーの心を引き裂くことがあります。
なので、この団体は、裁判を積極的に勧めてはいません。
しかし、裁判をおこす場合に、サバイバーを守ることになる、
必要な知識を紹介してます。
・・・さてさて、ここまでが前半です。
長くなってきましたので、続きはまた明日。
後半は、被害者の心理についての章の紹介です。
お楽しみに~!!
(ワクワクする内容じゃありませんが)