■真意を汲み取れてこそプロ
vol.985
毎日、毎日、原稿と
向き合って言葉を扱っております。
ことに、人物取材から
想いや気持ちを伝える仕事は
できる限り話し手の言葉を
ありのまま伝えられるように、
意図した言葉の意味を
間違えないように
慎重に表現を探していきます。
そこに思いを致す背景には
ある出来事に、はがゆい
思いをしたからです。
昨夜、イチロー選手が
現役引退を発表しました。
ずっと応援してきたファンには
寂しさしかありませんが
かっこよかったですね〜。
バッターボックスに入った時の
緊張感漂うスタンドの静寂。
その瞬間
「あぁ、きっとこれが
あの時イチローが欲しかった、
野球そのものを楽しむファンが
生み出すべき球場のあり方なのだ」
と思いました。
あれは何年前だったか。
ある日のスポーツニュースで
「イチローがもっと静かに
野球を楽しんでほしいと
言っている」という趣旨の
コメントをアナウンサーが
語ったのです。
そこから広まったのは
「イチローが日本の応援は
うるさいと言っている」
という悲しい誤解でした。
イチローが本当に
言いたかったのは
ピッチャーが投げたボールが
キャッチャーミットに
吸い込まれる音、
バットが捉えた打球の音、
そんな野球そのものを
音や雰囲気丸ごとで
楽しんでほしいという
意図だったのに。
その後しばらく
イチローの打席には
意図とは違った静寂が
包んでしまう悲しい誤解が
生まれてしまってました。
言葉を発する人の真意、
趣旨、意図、想い…
きちんと受け止め発信する
大切さをひしひし感じた
出来事でした。
野球道を究め続けた
イチローのように
私も文章道を究めたい。
プロフェッショナルとして
バットを置いたイチローのように
いつか「後悔などあるはずがない」
と言いながらペンを置く日を
迎えたいと思います。
ありがたいことに
ライターは、野球選手より
寿命が長い仕事です。
まだまだ磨き続ける努力を
忘れることなく
精進いたします！
日々、向き合えば文章は上達します。
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