コツコツ、コツコツ。
7ヶ月間、向き合い続け制作に励んだワイヤーアートの蟬=通称セミオ。


昨年の夏には、思わぬ大きな賞を運んできてくれ、私たちを東京まで連れて行ってくれました。

そして、秋。
そのまま今度は、高校男子を大学にまで運んでくれたのです。

おとなしくて、自分を前に出すことが苦手。
思ったことも、なかなか上手に相手に伝えることができない長男。
高校入学直後は、なかなかハードな日々を送っていました。

そんな日々の中、自らコミュニケーションを持ちに行くのが苦手な彼に代わり、セミオはいろんな人との「繋がり」や「ご縁」を彼にもたらしてくれたのです。

部活の顧問の先生はもちろん、担任の先生、隣の部活の先生、学年団の先生、養護の先生、教頭先生、他校の先生、授賞式では東京芸大名誉教授の先生まで…。

たくさんの方々に見ていただき、ほめていただき、喜んでいただき、本当にステキな高校生活を送らせてもらいました。

卒業式では、部活の送別会の後、挨拶に寄った職員室で、2年生でお世話になった先生に声をかけて頂き、大粒の涙をこぼしたそう。

「キミに会えてよかった。ありがとう」
先生は、そう声をかけてくださったのだとか。
「あんなに感情を見せた彼は、初めてでした」と先生が驚かれたほど、ポロポロ、ポロポロと涙をこぼしたそうです。

その後も職員室で、3年間お世話になった先生方にお礼を言っては涙をこぼし、泣いてはまたお礼を言い、彼なりの3年間のしめくくりができたようです。

さて、彼の高校生活の代名詞ともなったセミオは、今もまだ美術部の壁でたくさんの人に見てもらっているそうな。

もしかすると、また誰かの目標になって、東京へ、高校のその先へ、運んで行ってくれるかもしれない…。

高校男子の恩返しは、鶴ではなくて「蟬」かもしれない♪