レコードがCDに変わって30年ぐらい経ちましたが、CDの良さの一つは、レコードと較べてコンパクトであるため収納するスペースが小さくてすむという利点があげられます。
しかし、レコードジャケットの表紙を飾っていた有名な画家が描いた絵画などを見る楽しみは、CDになってからはほとんどなくなりました。
私は、ときどきレコードを収納棚から取り出し、音楽を聴くわけでもなく、ただジャケットを手に持って、表紙の写真や絵を見たりします。
思い出深いレコードジャケットはいくつかあり、その一つに東芝から出ていた「不滅の山田耕作歌曲集」のジャケットがあります。
ジャケット中央に、赤とんぼがオオオナモミという草にとまっている様子の17cm四方のカラー写真がはめ込まれており、この写真が私になんともいえない郷愁を感じさせるものになっていて好きでした。
最も印象深いのは、フイリップスから出ていたイギリスの作曲家フレデリック・ディーリアスのヴァイオリンソナタのジャケットです。
ジャケット全体に、19世紀前半のイギリスを代表する風景画家ジョン・コンスタブルの「ウィモウス湾」という絵が使われています。
この絵は、しっとりした大地とその上に広がる雲の描き方が素晴らしく、有名な「干し草車」とともに私の大好きな絵となっています。
レコードジャケットの表紙にある絵の色調は、何年か前美術館で原画を見たこものとは少し違ったものになっていますが、これはこれでいいと自分に言い聞かせ、ジャケットの絵を見て楽しんでいます。