真愛のお部屋 -252ページ目

高校生~交錯する想い編~Ⅰ

鞄の中身を全て拾い上げたあと、座席に座って暫く放心していた…。


車掌「次は~東黒川~東黒川~。ホームとの間に段差がありますので、お気をつけてお降り下さい」


車内アナウンスにはっとして、見慣れた景色の駅で降りる。


この東黒川駅は鉄道開通時に、近辺の果物農家の反対によって、町外れに流れる黒川の人家の殆んどない場所に追いやられてしまった。

その為なのか利用する者は市内へ通勤、通学する者のみで駅員がいない。


対岸は新興住宅地なのだが、駅へ通じる橋が1本しかなく、夜は外灯が少ないので不便な駅だ。


今日はいつもより遅かったので降りる人も少なく、何となく怖くなって素早く定期を簡易改札に通し、自転車置き場に向かおうとしたその時、聞き慣れた声に呼び止められる。


れな「京香、京香~!久しぶりぃ」

明日香「私もいるよ~!」

目の前に気が置けない仲の2人が此方の方へホームから小走りで
近づいて来る。


れな「1ヶ月振りくらい?3人揃うのは2ヶ月振りか…」

明日香「京香少し痩せたんじゃない?」

私「いやいやそんな事はないけど、最近食欲はあんまり無いかな…」

れな「ね、ね。それよりさ、れな、また気になる人出来たんだぁ♪」

れなは人によらず自分の話をしたがる。恋愛の話は殊更だ。
基本的にはいい子なのだが、時たまカチンと来ることはある。

沢山ケンカを繰り返して、友情の危機が何度もあったけど、小学校からずっと何だかんだで仲良しだ。


れな「バレー部の友達に紹介してもらったメル友なんだけど、も~超優しいし、カッコいいしっ!」

明日香「その人、うちの高校の人らしいんだけどさ、前聞いた人と違うからびっくりしちゃって。」

私「前は同じ高校のナツキくんだっけ?」

明日香「え、工業高校のマサナオくんじゃなかったっけ?」


明日香と私は顔を見合せてから、一体どういうことだとれなを真顔で見つめる。

れな「あ~つい最近までナツキが好きだったけど、あいつメール返してくれなかったし、マサナオくんは彼女命って言われたからナツキの前に諦めた」

携帯の画面を見ながられなは答える。


れな…中学まではこんなに惚れっぽい、というか飽きっぽい性格じゃなかったのに…。

私の知る限り、入学してからこの2ヶ月で好きな人は3回は変わっている…。


(おいおい、れなちゃん…。心配だよ。)

そんなことを思っていると、明日香が何の気なしに私に聞く。


明日香「京香は?好きな人、今いないの?」


明日香の一言を聞いて数秒後、








堰を切ったように両目から止処なく涙が溢れた。