こんにちは、イトウエルマです。

日々の立ちそばメモ帳から

食べたおそばのご紹介をしています。

８軒目は「きぬそば」（末広町）

きぬそばは昭和レトロな外観がかわいい立ちそばのお店。

そしてキッチン南海のオーナーだった店主がつくるカツカレーが有名で、

カツカレーそば６３０円が本日のお目当て。

この一品にありつくまでが大変でした！

この日、きぬそばの最寄り駅の

末広町に来て、大変なことに気が付いた。

……スマホ忘れた！

バカですねえ。

家を出る前にスマホでお店の場所を確認、

カバンに仕舞わずスマホをテーブルに置いていったのでした（汗）

しかし気持ちは昭和レトロ建築＆

洋食ちっくなカツカレーモードになってしまっている。

引き返したくはない！

ということで、見当をつけた辺りをウロウロ。

この近辺にお勤めと思しき人達に声をかける。

「きぬそばというおそば屋さんを知りませんか？」

朝の通勤前の忙しい時分でしたが、皆さん本当にご親切で、

いちいち立ち止まって話を聞いて下さる。

ですが誰ひとり、「きぬそば」に

思い当たる人はいなかったのでした。

実はここは、すぐそこの角を曲がればきぬそば、という場所でした。

きぬそばはこの界隈の人にとって「空気」というわけではなく、

単に店名が浸透していないのを、その後知ることに。

むむ、勘違いをしていたようだ、

末広町駅周辺まで戻って

改めて人に聞いてみよう、と思い直す。

交番を頼れない理由は、

住所がないと分かりません、と言われるから。

そういう決まりがあるのでしょうかね。

スマホかタブレットでちょちょっと調べてくれたらいいのに！！

この時代、スマホも住所も無しにお店探しをするとは……。

己のアホさにほとほと呆れながらも

近隣には必ずきぬそばユーザーがいらっしゃるはずだから彼等を見逃すまい！

と眈々と目を光らせ、大通りから一本内側の道に入る。

すると眼前に現れたのはビルの1階の駐車場兼作業場。

作業着を来てお仕事をされている男性３名！

（お、きぬそばをご存知かもしれない！）

それで試しに尋ねてみたのです。

ここでも初めに言われたのは

「きぬそば？知らないねえ」

それでも、

「レトロでカツカレーが有名なそばの店？」

「おまえ、知らねえか？」

ぶっきらぼうなようでも

私のお悩みに応えようという気概を見せて下さる。

そうして一番若手の男性がスマホを取り出したときに、

つい叫んでしまいました。

「私、スマホを忘れたんです。それでお店を探せないんです！」

すると男性３名の表情が一気にゆるんだ。

なんだ分かりにくい店ってわけじゃないんだな、

俺でも探せるぞとばかりに

それぞれが音声入力で喋って検索をスタート

（これ、年輩の方にこそ便利な機能だったんですね）

出て来たお店を見て、表情を変える。

「そこ、立ち食いそば屋だぞ」

「あ、これ、オレたちの行く店じゃねえかよ」

（お三方とも「レトロ」「カツカレー」「おそば」と聞いて

想像したのが西洋料理兼お江戸好みなおそばを出す

伝統あるお店だったのでしょう。確かにこの界隈ならありそうです。

かつて文人、芸術家が通ったようなハイカラ和洋折衷路線の名店が　笑）

……沈黙。

若手の男性が心配そうな面持ちで

スマホの画面を当方に向けた。

「ここはこういうそばのあるお店で、

カツカレーもあるみたいだね。

ほら、こういうそばがあって、

あ、カツカレーも有名みたいだね」

当方が失望する可能性を念頭に

店内の様子（立ち席のカウンターや天ぷらの並ぶケース）や

出て来るおそば（かき揚げそば）を写真で見せつつ、

同時に行く気を失わせない様

「立ち食い」のワードを封印、

慎重に言葉を選んできぬそばの説明をして下さる。

「これです、私の行きたいお店です！」

実は立ちそば巡りが趣味なんです、
というのは心内で呟き、道を聞き、

無事にきぬそばに辿り着きました。

昭和の洋食屋然とした佇まいと

入口にかかる「そばうどん」の暖簾。

洋食×立ちそばとは。

お店の自由さ、おおらかさが伺えますね。

「そば・うどん・カツカレー」とあるけれど

「きぬそば」の店名はどこにもない。

店名だけではどなたもピンとこなかったのも頷ける。

と思ったら黄色い電光のスタンド看板に

小さく「きぬそば」の文字がありました（汗）

（正式には「鬼怒そば」らしいですね。

東京都の時短要請協力店のステッカーに「鬼怒そば」とありました）

入店して店主に壁のメニューにはなかった

「カツカレーそば」ができるかを聞いてみると

できるよ、６３０円です、とのこと。

カツカレーと同額なので米か、おそばか、うどんか、

組み合わせ自在で楽しめるのですね。

ということで、ようやく辿り着いたきぬそばの

カツカレーそば６３０円がやってまいりました！

（提供は早かったですよ♪）

おまけにちくわ天も入れてくれました。

（きぬそばでは店主が気分で選んだ天ぷらのおまけを入れてくれるのです）

さてお味。

ロースカツは蓼科（カツそばが有名な赤坂の立ちそば店）と同様の薄さ。

つまり肉厚カツではない。（お安いのでね）

が、元洋食店らしい美味しさが光るのが衣で

揚げ置きといえどもカリッと具合が、風味がひと味違う。

（店にならぶ天ぷらもおいしそう！

揚げ物がお上手なのでしょうね）

カレーも裏切らない。

ターメリックの黄色の強いthe日本の和風カレーではなく

色合い的にはハヤシライスやデミグラス的茶色ベースの

日本の洋食屋さんのカレーらしい見た目とお味。

とはいえ、ありきたりなものではなく、

カレーにはコクと酸味が感じられる。

見ていると天ぷらそばか
カレーライスを注文するお客さんが多い。
なるほど納得、とおそばをすする。

かけつゆは少なめ。
だからカレーそばというよりは
ごはんの代わりにおそばでいただくカツカレーといった風情。
おそばだとかえってあっさりいただけていいですね。
カツカレーそば、なかなかいいな。

おそばを啜りながら、隣で滔々と話をする男性客と、
それに間の手をいれる店主の会話に耳をそばだてる。

何でもこの男性にはIT社長の知り合いがいて、
今回大きなお金を動かすビジネスの計画があり、
自分もこれに乗っかればとんでもない見返りがある、という。

ホンマかいな、とも思うのですが
イマドキの業界やSEさんの現状やその社長が目指す今後の展望など
この方のお話にはただの夢物語とも断じられない
うっすらとした説得力があるのでした。

しかしそれを話す本人は作業着姿、

社長さんにしては見た目も仕草も若く

役職がある人物のようにも見えない。
どうしてこんなにビッグな話がこの人から出てくるんだろうか、
（しかも立ちそば店で！）
と気になって仕方ない。

店主がお話に乗っかってみせる。
「それが上手くいったらウチの厨房もガタが来てるから新しくしてもらいたいねえ」

「なんでオレがおやじさんの改装費用払うのよ〜。オレの儲け話なのに！」
ムキになって語気を強めた男性に、かえってびっくり。
（その話ってホントなの？）

……というやりとりに、

ほっこりしながらいただいた

懐かしさも感じられる味わいのカツカレーそばは
とても美味しかったです。

スマホを忘れて色んな方に道を聞き、
辿り着いたお店にはサラリーマン、作業服の人と

年代もいろんなお客さんがやってくる。
建物やおそばだけでない、

ゆったりした下町情緒の全てが
きぬそばの魅力でした。

【きぬそば】

東京都　千代田区　外神田　６−１０−１１

７：３０〜１７：００

土日祝休

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立ちそば日記８ 「きぬそば」で”キッチン南海”仕込みの「カツカレーそば」

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