カッコいいボーカル | エルム 琉杏オフィシャルブログ「琉杏の住人小悪魔計画!」Powered by Ameba

カッコいいボーカル

2021年3月13日ジキルさんは亡くなった。

一報を聞いた時、息がつまり、吐きそうになり、崩れ落ちました。あの瞬間のことはすごく鮮明に今でも覚えてる。命の尊さは日々感じてるつもりですが、こんなにも早く近い人が亡くなるのは本当に辛くて苦しい。


書いても書いてもまとまらないので、長文になりますがお許しください。

僕が一番初めにステージに立ってる彼を見たのはセッションでした。所謂王道曲なセッションではなく、とても独特な選曲でした。ステージにいる彼はオーラがすごくて、なんていうかボーカルってこうだよな!すげーかっこいいなって思ったのが第一印象です。

その後、ジキルさんの方から熱い連絡を何度ももらい、エルムを結成した。最初に決めたルールは、すぐに解散しないで長く続けられるバンドにしようねってことでした。8年で解散しちゃったけど、きっと叶えられたよね。

活動を始め、何本一緒にライブして、何曲作っただろう。イベント、ワンマン、ツアー、すっごく楽しく活動ができました。ジキルさんが盛大に笑うあの声、一緒に変顔して写真撮ったり動画撮ったり、バカやってたことも昨日のことのように思い出します。活動していけばいいことばかりではなかったのも事実で無計画で、無鉄砲で、遅刻魔で、でも時に優しく、どこか寂しげで、抱え込みやすい性格で、年上なのにほっておけない、いつしかそんな存在になっていきました。

作品において、彼の世界観はすごかった。メールとかラインの返事だと何を伝えたいのか意味分からないことが多々あるのに、なぜ歌詞になるとこんなに起承転結で、素敵な世界を描けるんだろう、この人の頭の中ってどうなってるんだろうと今でも思ってます。なのでエルムではジキルさんのイメージする世界を壊さないように、僕がそれを形にする。そんな役割分担でした。

エルム解散しよっかって話になった時、一番嫌がってたのはジキルさんでした。歌うことが好きで、ステージに立つのが好きで、でも気持ちだけでは現実は続けていけない。それはジキルさん含め全員が分かってたことだと思います、けどもっと続けたかったかも知れないのにごめんね。

解散する前の僕らは、多分他のメンバーより友達という感覚ではなく仕事仲間や製作者同士って感覚の方が強かった気がします。いやどちらかいうと年数を重ねるうちにそうなっていってしまったのかな。それはそれできっと僕たちにしかできない話は沢山できたと思うけど、解散してから前より気軽に連絡とって頼ったり、頼られたりしたことが嬉しかった、これからもっと友達として飲みに行ったり、旅行行ったりそんなことしたかったな。

つい最近ジキルさんと出したReborn、なんだか深い意味をもっちゃう音源になってしまったよ。今回は完全にセルフで作った音源なので、二人っきりでレコーディングして、んーもっとそこはこう歌ってとか、この歌詞変えたいんだけどとか、二人であーでもないこーでもない言って、すごく久々にワクワクしたし、最後に一緒に制作ができて本当に良かった。

訃報を聞いて数日後メンバーと会いました。皆んな口を揃えて出た言葉は
「本人はきっと楽しく生きた人生だったよね。」でした。
でももう少しだけ自分の体を大事にして欲しかったな、早いよ、いつも遅刻ばっかりするのにこんな時だけ早過ぎるよ。

僕は最近イベントに誘われ、そのライブに実はエルムとして出たかったのでメンバーに声をかけました。またステージに立てるね、お客さん喜ぶかな、何やろうかな、別にエルムとして出したわけではないのに27さんがRebornやりたいって言ってくれてるよ!なんて他愛もない連絡をしました、なのにまだ既読がつかない。今回だけじゃなくもう2度とエルム復活は叶わなくなってしまった。すごく寂しい。今はちょっとジキルさんの歌声を聴けそうにないよ。でもこの悲しい気持ちはいつか乗り越えなきゃいけないね。沢山の一緒に作った曲、悲しい気持ちで一緒に作ったわけじゃないし、エルムだけじゃなくてそれ以外のバンドでもあなたの歌声がすごく好きなので、またいつか絶対聞きたくなるしね。

もしひとこと話せて、そっちにいっちゃうの早過ぎるよ!って怒ったとしても、おーすまんすまん!って苦笑いしながら返してきそうな気がして、、もう許すしかないよね。


悲しみに暮れたくてもやらなきゃいけないこともあって、仕事もある、お腹だってちゃんと空いちゃうんだよね、僕は僕でやるべきこと沢山あるから、ジキルさんの分までしっかり生きるからね。

ご遺族からは

自ら命を絶ったわけではないことを伝えて欲しいと伝言がありましたので、ここにお伝えします。

最期の姿はとても綺麗で、棺にはエルムの最後の衣装を入れ、葬儀はエルムの曲をかけて頂けたそうです。僕にとってその報告は深い悲しみとともに、感謝や気が楽になったり、それと同時にどっと疲れがくる、なんだか色々な感情が入り乱れました。そしていなくなったことを少しずつ受け入れなきゃいけないんだなって思い始めたところです。

僕にとってはエルムとそれより少し前までのジキルさんとの思い出しかありませんが、エルムだけではなく、流血、カミカゼ、そしてもっと過去のバンドやバンド以外で交流のある方、間違いなく色々な人に影響を与え、沢山の人にものすごく愛された方だったと思います。そんな愛された彼とバンドができたことが本当に幸せで誇りです。

ありがとうねジキルさん。
それではまた悪夢で、、ってまたいつか聞けるよね?今でも携帯は辞書登録してて「じ」って打つと「ジキルさん」って出てくる。「じ」を打つ度に今は悲しくなるけど、少しずつ楽しかったねって思えるようにするね。

 

心よりご冥福をお祈りします。