00354 | エルム ジキル オフィシャルブログ「暴君ジキルによるシリアルキラーの作り方講座」Powered by Ameba

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今20歳前後の住人

これを読んだ時に何を思い感じるんだろうか





出撃の日

御父様 御母様

人生わづか五十年とは昔の人の言ふ言葉、

今の世の我等二十年にして

すでに一生と言ひ、

それ以上をオツリといふ。

まして有三年も永生きせしは、

ゼイタクの限りなり。

いささかもおしまず、

笑つて南溟の果てに散る。

金沢の備中町材木町小学校の頃、

一月くらいに病気をして弱かった頃、

また千葉の家の前のグミの実など、

潮干狩りのこと、新潟の永き思ひ出。

明大に於ける生活、下宿、

岐阜のこと、寺の娘、釣りのこと、

いろいろと断片的に思い出され

なつかしく、

目を閉づれば眼前に浮かび上がります。

ただただ御両親様の御健康を祈るのみ。

御父上様の例の御病気は

今後お慎み下されたく、

御母上様の御心痛察するにあまりあり。

一緒に死ぬのは斉藤幸雄一等飛行兵曹とて

二十一歳の少年かはいい男です。

なぜか私をしたつて大分前から一緒に

とんでゐますが死ぬのも一緒です。

出撃の朝 散歩に行くやうな、

小学生の頃遠足行くやうな気持ちなり。

○三○○朝めし。

すしを食つた。

あと三時間か四時間で

死ぬとは思へぬ。皆元気なり。