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時計仕掛けのMASQUERADE

「仮面舞踏会(マスカレード)が始まっちゃうよ！」
時計を見て叫ぶウサギが走りながら
わざと落としたのは黒い招待状でした

「西洋磁器人形(ビスクドール)の
肌したお嬢ちゃん！」
ハンプティー・ダンプティーが慌てた様に
招待状を強引に押し付けて「急ぎなさい！」と
森に連れ出され促されるままに辿り着いた古城

「傍若無人な振る舞いが
許される公爵夫人には気を付けなさい」
言い終えた彼に仮面(マスケラ)を渡されて
「社交の場ですから
服装規定(ドレスコード)を忘れずに…」

怪しげなのに煌びやかな世界に迷い込み
私はまるで借りてきた猫みたい
「さあ、お手をどうぞ終わらない
圓舞曲(ワルツ)を踊りましょう」
華やかにくるり廻り酔いしれて

美しいお嬢さん
お顔の色が優れませんね
彼方で少し休まれては如何でしょう？
どうやら酷くお疲れのようですし
ご遠慮なく寝台(ベッド)で横になって下さい
それでは目を瞑って覚めない悪夢へ。

公爵夫人は静かに近付いて拘束された
生娘の首に鋭い歯を立て
噛み付き血液を飲み干し
二度と目覚めぬ少女を
時計仕掛けの人形にしましょう

貴女も天鵞絨(ビロード)の夜空
シャンデリアの星の下で
私の思うがままに操られて
「さあ、お手をどうぞ終わらない
圓舞曲(ワルツ)を踊りましょう」
華やかにくるり廻る自鳴琴(オルゴール)

悲しいのか嬉しいのか
涙を流すけど語れぬ瞳は翡翠(エメラルド)

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