痛い話 1

あの時、私は小学校5年生の3月。

一つ年上の6年生を見送る、

卒業式での出来事だった。

その日は前日からの雨。

PTA役員の長ーい話の中には

「本日の雨は　小学校を去る皆さんの悲しいキモチを表しているのでしょう」

とか

「雨降って地固まると申します」

とかいった話が出るに違いない。

けッ

しかし私は　本当にPTA役員が

そんな「けッ」な話をするかどうかを確かめるすべはなかったのです…。

卒業式の始まる前、

在校生は卒業生よりも先に

卒業式の会場・体育館に集まりだしていた。

私はいつもとは違う雰囲気に興奮していた。

そして　いつもより早足で

小走りに体育館に移動していた。

そして

雨で濡れた床で

つるりッ


とコケてしまった…

ドンくさい私は

両手をつくでもなく

なぜか自分の右腕を

自分の体(当時肥満児）

の下敷きにして


その上にドーンとのっかってしまったのだ。

激痛


しかし見た目に血が出ているわけでもなく、

まわりの皆も「卒業式」に浮かれていて

全く私の激痛に気が付くこともなく

もくもくと体育館に列を成していた。

さすがに痛くて私は泣いていた。

しかし　今日は「卒業式」。

周りの人々（来賓として来ていた人々、先生、同級生ぜ～～んぶ）はみんな

「今日が卒業式で

悲しくて泣いている

 に違いない」

と思っていたらしい。

余り知らない一つ上の学年がいなくなるからといって

泣くような繊細ハートは持っている私ではないが

まわりの人間はそんなことを知る由もなく

「なんて感受性の強い子なの」

と少し感動交じりに私を見つめていたに違いない。

いやいや、

痛くて

泣いてんですけどもっっ

　　　　　　　(;＞ω＜)/ひぃ～

私は周りの人間は「今日が卒業式で悲しくて泣いている」と思っているなぞ

つゆ知らず、「泣いていれば誰かが心配して来てくれるに違いない」

と言う気持ちと「今日の行事は特別だから我慢して出席しなければ」

という気持ちで指定された在校生の席に座っていた。

すると先生の一人がさすがに「おかしいな？」と思い　

（おせーよ!!(T△T;)　）

私のそばにやって来て

「どうしたの？卒業式だから悲しい？」と聞いた。

（まだ　言うか?!　

>>卒業式だから悲しい）

私は先生に事情を話し、保健室に連れて行かれ

（病院に連れて

行ってくれ～～!!!）

そして最終的に病院にたどり着いた。

レントゲンを撮ってみると

私の右腕の骨が

湾曲している

ということが分かった。

私の体重が腕に乗っかった時に曲がってしまったらしい…。

↑のようなことをひとしきり説明した後

医者はこう言った。

「曲がったモンは


まっすぐにしないとね♪」

 私　　　(;ﾟДﾟ≡ﾟДﾟ;)　え

言い終わるか終わらないかのうちに

今までそばで見ていた看護師数名が

私の体を押さえつけた。

  私　　(((((　?(;ﾟДﾟ≡ﾟДﾟ;)?　))))　え？え゛？

医者「ちょっと痛いけど我慢してね～～」

　　　　　　　　(b^ー°)

 気が付くと医者はスリッパを脱いで

足を私の右脇の下に置き

（というか　脇の下につっこみ）

私の右手首を両手で握って

うんとこしょ　どっこいしょ

と童話「おおきな　かぶ」よろしく、

私の腕を思い切り引っ張った。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　それでもかぶは抜けません　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～「おおきな　かぶ」より～

「ギぇぇぇゑーーーーー!!

○★＆％＃■＃＠＊!!!」

めでたく

私の右腕はまっすぐになり

その後はギプスをはめられ

数週間後に

すっかりしなびた腕と

なんともいえないすえたにおい

にご対面したのだった。

まあ、これが私の今までの人生の中で

一番大きな怪我なので

よしとしよう。

でもさ

・・・・・・・・・・怪我したときよりも

治療の方が痛いってどうよ？

　　　　　　 どうよ？




　　　　　　　　　　　どうよ？

★今日の英語

ギプス　　cast

ギプスはドイツ語らしい。さすが、医療関係の単語はドイツ語か。