※免疫システム老化の差・関係か!

厚生労働省によると、新型コロナウイルスに感染した場合、男性の方が死亡する確率が高い。そんな傾向が日本も含め、世界各国から報告されている。男女の「免疫の老化」の差が関係しているらしい。男女の死亡率の違いは、過去の感染症でも報告されている。SARS(重症急性呼吸器症候群)では、男性の方が1・66倍死亡率が高かった。MERS(中東呼吸器症候群)では男性の死亡率が52%だったのに対し、女性は23%だった。

重症化のメカニズムとして指摘されるのが、男女の「免疫応答」の違いだ。免疫システムは、まず生まれながらに持っている「自然免疫」が働き、次に攻撃力の強い「獲得免疫」が働く。免疫細胞からはサイトカインというタンパク質が出る。自然免疫でこれが過剰に出ると、正常な細胞も攻撃するサイトカインストームが起き、新型コロナ重症化の一因とされる。米エール大学の高橋岳浩研究員は、自然免疫が強くなり獲得免疫が弱くなるのは、男女共通の傾向で老化によって起きるという。「ただ、男性の方が免疫システムの老化が強く表れるという。免疫反応の違いには、遺伝子や性ホルモンが影響すると言われている。

元国立感染症研究所感症疫学センター長で、富山県衛生研究所長の大石和徳さんは「新型コロナの重症化には性差があるとみられるが、原因は複雑で特定は難しい」という。「大事なのは、原因の特定よりも、性差があることを踏まえた治療戦略を検討することだろう」と話す。