母の命日 | bluesな日々

今日は母の命日。

25年前のこと。

広島県北の山奥の村で生まれ育った母は、広島市内に働きに出てきてすぐに結婚、ほどなくしてワシが生まれた。

 

暮らしは貧しくて共働きだったようで、ワシは2歳まで母方の祖母に預けられとった。

当時、祖母は土木作業員の現場事務所みたいなところで食堂のおばちゃんをやっとった。ワシは一日中その食堂におって、イカついおっさんたちに抱っこされながらコーヒーの香りとタバコの煙の中で育ったんじゃ。

 

コーヒーとタバコ

「パパママ」や「お父さんお母さん」じゃないんよ、「コーヒー」と「タバコ」、それがワシが喋ったはじめての言葉。ただ喋るのはかなり遅かったらしく、母はワシが口が聞けなん子じゃないかとかなり心配したらしい。暮らしも少しずつ余裕ができてようやくワシを引き取れるって時、ワシは祖母を母親だと思っとったらしく、泣き喚いて祖母から離れず、その光景があまりに悲しくて夫婦で泣いたんよ〜って、母が話してくれたことがあった。

 

22

この年、若くしてワシを生んでからは働き詰めの日々じゃった。かなりストレスもあったはず。ワシには2つ下の妹がおるんじゃけど、ちっちゃな頃は兄妹喧嘩はしょっちゅうなわけ、仕事で疲れ、子育てで疲れて毎日バタバタしとるのに兄弟喧嘩されちゃーもうイライラしてしょうがなかったんじゃろうの…、ワシと妹が喧嘩はじめると母は台所から包丁持ってきてワシらにその包丁握らせて、「さぁ、やるならこれで喧嘩しんさい!!」って…。

包丁握らされたワシら兄妹はもう怖くてね、2人共泣き出したこと覚えとる。

 

ガン

ワシが12歳の頃、母がガンになってしもーた…、乳がん。いまと違ってまだ胸を残せるような治療なんかなかった。片方の胸をごっそり切除。退院した夜、一緒に風呂に入ったよ。その頃のワシはもう1人で風呂入っとったんじゃけど、母が3人で入ろうって…、久しぶりに妹とワシと母親で風呂に入ったんじゃ。

手術した痕が痛々しゅーてね…、だって胸を切除したわけじゃけ、縫い合わすにはお腹の皮と肩の皮を引っ張って縫っとるわけ、ほいじゃけ、その突っ張りは尋常じゃのーて、今にもキズ口が弾けて破けるんじゃないかと思うくらいパッツンパッツンでハラハラしたこと覚えとる。女性の一部を削ぎ取られた母の気持ち、母と子3人でのあの日の風呂で、母がエグれた胸をタオルで隠しながら入って来て、小さく微笑んでタオルを外しその傷口をワシらに見せてくれた事を今でも時々思い出す。

 

7年周期

男の細胞は5年、女の細胞は7年で全部入れ替わるらしい。じゃけ7年って歳月がポイントじゃった。最初の7周期の時もホッとはしとったけど、やっぱりまだ不安は払拭されんかった。そして2回目の7周期、14年が経ったときはさすがにもう大丈夫だろーって安堵したみたいじゃった。じゃが翌年に再発、その時はもう手遅れで母の余命を聞かされた。母は最後まで余命宣告は知らんかったけど。

 

人生は1回って当たり前なんじゃけど、普段の生活の中でそんなこと意識せんじゃろ?

母の死は、人生は1回きりってことを凄く意識させられた出来事じゃった。

 

「放浪キング」っ歌は母との死別から生まれたんじゃ。2ndアルバム「縦横無尽」に収録し、ライブでもようやっとる曲。

 

こんな歌詞じゃ。

 

「放浪キング」

風が吹くたびその気になって

西へ東へ東へ西へ

聞いたらそいつを確かめたいのさ

心のままに踊ってたいのさ

何にも迷わない

 

昨夜の夜はシカゴの酒場で

マディーと一緒に飲んだくれていた 

 

疾風のように現れて

疾風のように去ってゆく

俺は放浪キング

 

あんたの優しさに背を向けて

飛び出したのは18の冬

都会の真ん中 田舎の片隅

着の身着のまま さまよってきたぜ

あれからどのくらい

 

世間知らずとののしられながら

風の中に答えを探している

孤独と共に現れて

孤独と共に去ってゆく

俺は放浪キング

 

あんたの胸の中で

もう一度眠りたいが

冷たい土の中じゃ

どうにも叶わない

 

古いギターを相棒にして

俺は今夜も東へ西へ

必ずあんたに会いに行けるから

死ぬまで生き延び続けるだけさ

夢の真ん中で

 

ゆうべの夜はウルフと2人で

月に向かって吠えまくっていた

疾風のように現れて

疾風のように去ってゆく

俺は放浪キング

 

 

そして、母と妹とワシ、3人の旅の歌

広島市内から県北に電車に揺られて母方の祖父母のところに行くのが幼いワシにとっての旅じゃった。当時は電車じゃなく汽車って呼んどったから、東京に出た時に汽車って言って笑われたの覚えとる。

それをテーマにに作った歌が

「電車に揺られて」

1番長く歌っとる歌。

母には数えきれないほどの優しさをもらっとったんじゃなと…

 

こんな歌詞じゃ

 

「電車に揺られて」

ドアにもたれて軽くまぶた閉じれば

振り返る一日に何故かため息が揺れる

些細な失敗を挫折と決め付けるたびに

車内吊りの広告に自分の逃げ道探し出す

 

通り過ぎる風景に

何かを見過ごして行くようだけど

たどり着くべき場所なんて

誰にもわかりはしないのさ

 

電車に揺られて 電車に揺られて

黒いガラスの向こうに我儘に夢を描くのさ

電車に揺られて 電車に揺られて

スモッグの雲に咳込んでる

月の夜空に口笛を響かせよう

 

ホームの向こうの土砂降りの雨が

錆びたレールに弾かれて

くすんだ空に溶けてゆく

夢を彷徨う僕の熱い体に

-100℃の冷めたナイフが突き刺さる

 

子供のころは田舎まで

トンネルの数を数えながら

数え切れない優しさに気づかず

ただ包まれていた

 

電車に揺られて  電車に揺られて

薄っぺらな愛を脱ぎ捨てて

終わらない夢を描くのさ

電車に揺られて  電車に揺られて

星の石畳突き抜けて

果てしなく続くこの空を飛び回れ

 

不安と希望にいつまでも揺られながら

僕の旅は続いてゆく

 

電車に揺られて  電車に揺られて

黒いガラスの向こうに我儘に夢を描くのさ

電車に揺られて  電車に揺られて

スモッグの雲に咳込んでる

月の夜空に口笛を響かせよう

 

 

 

☆☆プロフィール☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ELK(えるく、12月21日広島県生まれ。

シンガーソングライター)BLUES&SOULを聴き、本格的に音楽に目覚め、広島より単身上京。路上で歌い始める。 

 

泉谷しげる/忌野清志郎共同プロデュース「紅白をぶっとばせ!」への参加。

 

内田勘太郎(ex.憂歌団)、三宅伸治(モジョクラブ)等のオープニングアクト

 

杉山章二丸(ex.タイマーズ、モジョクラブ)とのバンド活動。

 

音楽評論家の鳥井賀句に認められ、伝説の渋谷「青い部屋」への出演。

 

他府県ツアーを行うなど、ライブ活動を続け、2016年,2017年.2020年にCDを全国リリース‼️

 

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ライブ予定等詳細は

下記オフィシャルHPにて

http://elk.mods.jp/home/index.html

 

 

 

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