キム・ヨナのバンクーバー五輪のイナバウアー&イーグル(文章一部修正)
荒川静香さんで一躍有名になった技『イナバウアー』。
背中を大きく後ろに反らせるのがイナバウアーだと思っていませんか?
実はそうではありません。
イナバウアーの定義は下記の通りです。
イナバウアー
「ムーヴズインザフィールド」のうちの1つ。
足を前後に開き、前の足のひざを曲げた姿勢で、両足のつま先を外側に大きく開いて横に滑る。初めて演じた旧西ドイツの選手イナ=バウアーの名から。「スプレッドイーグル」の変形。
ムーヴズインザフィールド
ストローク後に、長い距離または時間を、ある姿勢を保ったまま滑ること。
こちらが、元祖イナ・バウアーさんです。
トリノ五輪の頃、荒川選手が「どこまで反れるかやってみたらこんなになった」っておっしゃってましたが、元々のイナバウアーは脚の位置を表現するもので、「上体を反らす」のは荒川さんが後から付け加えたオプションだったワケです。
で、当時、「イナバウアー」とは別の技だということで、「荒川イナバウアー」にしようという意見もあったそうですが、今は、「レイバック・イナバウアー」とか「サーキュラー・イナバウアー」と呼ぶそうです。
が、今やイナバウアーといえばこちらのレイバック・イナバウアーを指すことがほとんどになってしまいましたし、選手が演技で取り入れる場合もレイバック・イナバウアーです。
ところが、そのイナバウアーの原点に立ち返ろうとした選手がいます。
そう、誰あろう、バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナです。
キム・ヨナのFSのイナバウアーは、「レイバックでない」イナバウアーでした。
ありがとう、キム・ヨナ。
イナバウアーの本当の意味を思い出させてくれて。
でも、昨年まではあなたも「レイバック・イナバウアー」してたんですね。
いえ、今季のGPFまでそうだったんですね。
上段左・・・2007年世界選手権「あげひばり」
上段中・・・2008年世界選手権「ミス・サイゴン」
上段右・・・2009年世界選手権「シェヘラザード」
下段左・・・2009年世界選手権「エキシビション」
下段中・・・2009年エリック杯「ガーシュウィン」
下段右・・・2009年GPF「ガーシュウィン」
でも、いくらきれいにイナバウアーをやっても、いくら頑張って反っても、点数には反映されないし、次に続くジャンプを「難しい入り方をするジャンプ」にするためのジャンプ直前の動作だから無理して反る必要もなかったのですね。
だから、バンクーバー五輪では見た目ノーミスで滑るために、そしてジャンプを失敗しないために、「レイバック」をやめて普通のイナバウアーにして来たのですね。
決して手抜きをして滑ったわけではないんですよね?
実際、この後に跳んだ2A-2T-2Loで2点の加点を得ていますね。
でも、このイナバウアー、姿勢を取っている時間がとっても短いですね。
時間を計ってみようとしましたが、計るまでもなく、1秒もかかっていないことが分かりました。
ムーヴズインザフィールドは、ストローク後に、長い距離または時間を、ある姿勢を保ったまま滑ること、のはずなんですが。
そういえば、エキシビションではみんながしているレイバック・イナバウアーにしていましたね。
また、レイバックに戻したのはどうしてなのでしょう???
せっかくイナバウアーの原点を見る人に思い出させようとしてくれたはずなのに。
そして、もう1つの「ムーヴズインザフィールド」である「スプレッドイーグル」もあなたはFSに取り入れてますね。
スプレッドイーグル
両足のトウを大きく開き両足で横に滑ることを指す。多くの場合は左右のエッジの軌跡がほぼ重なるのが特徴。単に「イーグル」ともいう。イナバウアーはスプレッドイーグルの変形であり、多くの場合両足を前後にずらすためエッジの軌跡は重ならない。
意外とイーグルの写真って見つからないのですが、浅田選手とバトル選手のイーグルの画像です。
キム・ヨナ、あなたの今季のイーグルの画像です。
上がバンクーバー五輪の時のもの、下はGPFの時のものです。
このイーグルの後、2A-3Tのコンビネーションを跳んで、バンクーバー五輪では加点2点を得ていますね。
股関節から脚を開いて、身体を倒すのがイーグルの正式な姿勢ですが、あなたのは膝から下をむりやり開いて、身体も棒立ちですね。
「なんちゃってイーグル」とか「塗り壁イーグル」と言われても仕方ありませんね。
しかも、GPFの時には両膝が曲がっていて、一部で「ガニーグル」なんて言われてましたっけ。
そして、バンクーバー五輪の時は、解説の八木沼さんに言われなければ、私も息子もこれをイーグルと気付きませんでした。
しかも、このイーグルも、イナバウアー同様、姿勢を取っている時間がものすごく短いんですね。
さすがにイナバウアーよりは長くて、姿勢保持の時間は2秒くらいあるでしょうか。
ですが、あなた比では長くても、私には、お世辞にも、「ムーヴズインザフィールド」の条件である「長い距離」「長い時間」「ある姿勢を保つ」を満たしているとは言いがたいと思います。
けれど、採点上、イーグルも必須要素ではありませんし、全く点数に関係ありません。
関係あるのは、ジャンプに入る前に動作をして難しい入りをしたジャンプにすることですから、「なんちゃって」だろうが超キレイなのだろうが問題ないわけですね。
要するに、ジャンプの前に「ちょっと動作いれたわよ」的に動いておけばOKということなんですよね。
効率のいいイーグルですね。
あ、もしかしたら、本当はイナバウアーもイーグルも、実は、イナバウアーでもイーグルでもなかったのかもしれませんね。
ジャンプの入りを難しくするための単なる振付だったのかもしれません。
きちんとしたムーヴズインザフィールドをするより、振付の方が疲れないし、ジャンプに加点はもらえるし、一石二鳥ですものね。
素晴らしいアイディアです。
この2つの技を見て、体力のないあなたが何故FSで初めてノーミスで滑りきることができたのか、少し分かった気がします。
背中を大きく後ろに反らせるのがイナバウアーだと思っていませんか?
実はそうではありません。
イナバウアーの定義は下記の通りです。
イナバウアー
「ムーヴズインザフィールド」のうちの1つ。
足を前後に開き、前の足のひざを曲げた姿勢で、両足のつま先を外側に大きく開いて横に滑る。初めて演じた旧西ドイツの選手イナ=バウアーの名から。「スプレッドイーグル」の変形。
ムーヴズインザフィールド
ストローク後に、長い距離または時間を、ある姿勢を保ったまま滑ること。
こちらが、元祖イナ・バウアーさんです。
トリノ五輪の頃、荒川選手が「どこまで反れるかやってみたらこんなになった」っておっしゃってましたが、元々のイナバウアーは脚の位置を表現するもので、「上体を反らす」のは荒川さんが後から付け加えたオプションだったワケです。
で、当時、「イナバウアー」とは別の技だということで、「荒川イナバウアー」にしようという意見もあったそうですが、今は、「レイバック・イナバウアー」とか「サーキュラー・イナバウアー」と呼ぶそうです。
が、今やイナバウアーといえばこちらのレイバック・イナバウアーを指すことがほとんどになってしまいましたし、選手が演技で取り入れる場合もレイバック・イナバウアーです。
ところが、そのイナバウアーの原点に立ち返ろうとした選手がいます。
そう、誰あろう、バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナです。
キム・ヨナのFSのイナバウアーは、「レイバックでない」イナバウアーでした。
ありがとう、キム・ヨナ。
イナバウアーの本当の意味を思い出させてくれて。
でも、昨年まではあなたも「レイバック・イナバウアー」してたんですね。
いえ、今季のGPFまでそうだったんですね。
上段左・・・2007年世界選手権「あげひばり」
上段中・・・2008年世界選手権「ミス・サイゴン」
上段右・・・2009年世界選手権「シェヘラザード」
下段左・・・2009年世界選手権「エキシビション」
下段中・・・2009年エリック杯「ガーシュウィン」
下段右・・・2009年GPF「ガーシュウィン」
でも、いくらきれいにイナバウアーをやっても、いくら頑張って反っても、点数には反映されないし、次に続くジャンプを「難しい入り方をするジャンプ」にするためのジャンプ直前の動作だから無理して反る必要もなかったのですね。
だから、バンクーバー五輪では見た目ノーミスで滑るために、そしてジャンプを失敗しないために、「レイバック」をやめて普通のイナバウアーにして来たのですね。
決して手抜きをして滑ったわけではないんですよね?
実際、この後に跳んだ2A-2T-2Loで2点の加点を得ていますね。
でも、このイナバウアー、姿勢を取っている時間がとっても短いですね。
時間を計ってみようとしましたが、計るまでもなく、1秒もかかっていないことが分かりました。
ムーヴズインザフィールドは、ストローク後に、長い距離または時間を、ある姿勢を保ったまま滑ること、のはずなんですが。
そういえば、エキシビションではみんながしているレイバック・イナバウアーにしていましたね。
また、レイバックに戻したのはどうしてなのでしょう???
せっかくイナバウアーの原点を見る人に思い出させようとしてくれたはずなのに。
そして、もう1つの「ムーヴズインザフィールド」である「スプレッドイーグル」もあなたはFSに取り入れてますね。
スプレッドイーグル
両足のトウを大きく開き両足で横に滑ることを指す。多くの場合は左右のエッジの軌跡がほぼ重なるのが特徴。単に「イーグル」ともいう。イナバウアーはスプレッドイーグルの変形であり、多くの場合両足を前後にずらすためエッジの軌跡は重ならない。
意外とイーグルの写真って見つからないのですが、浅田選手とバトル選手のイーグルの画像です。
キム・ヨナ、あなたの今季のイーグルの画像です。
上がバンクーバー五輪の時のもの、下はGPFの時のものです。
このイーグルの後、2A-3Tのコンビネーションを跳んで、バンクーバー五輪では加点2点を得ていますね。
股関節から脚を開いて、身体を倒すのがイーグルの正式な姿勢ですが、あなたのは膝から下をむりやり開いて、身体も棒立ちですね。
「なんちゃってイーグル」とか「塗り壁イーグル」と言われても仕方ありませんね。
しかも、GPFの時には両膝が曲がっていて、一部で「ガニーグル」なんて言われてましたっけ。
そして、バンクーバー五輪の時は、解説の八木沼さんに言われなければ、私も息子もこれをイーグルと気付きませんでした。
しかも、このイーグルも、イナバウアー同様、姿勢を取っている時間がものすごく短いんですね。
さすがにイナバウアーよりは長くて、姿勢保持の時間は2秒くらいあるでしょうか。
ですが、あなた比では長くても、私には、お世辞にも、「ムーヴズインザフィールド」の条件である「長い距離」「長い時間」「ある姿勢を保つ」を満たしているとは言いがたいと思います。
けれど、採点上、イーグルも必須要素ではありませんし、全く点数に関係ありません。
関係あるのは、ジャンプに入る前に動作をして難しい入りをしたジャンプにすることですから、「なんちゃって」だろうが超キレイなのだろうが問題ないわけですね。
要するに、ジャンプの前に「ちょっと動作いれたわよ」的に動いておけばOKということなんですよね。
効率のいいイーグルですね。
あ、もしかしたら、本当はイナバウアーもイーグルも、実は、イナバウアーでもイーグルでもなかったのかもしれませんね。
ジャンプの入りを難しくするための単なる振付だったのかもしれません。
きちんとしたムーヴズインザフィールドをするより、振付の方が疲れないし、ジャンプに加点はもらえるし、一石二鳥ですものね。
素晴らしいアイディアです。
この2つの技を見て、体力のないあなたが何故FSで初めてノーミスで滑りきることができたのか、少し分かった気がします。