三大市民革命
世界歴史には,三大市民革命がある。
イギリスの清教徒革命(1642~49)とフランス革命(1789~95)とロシア革命(1917)である。
いずれも市民革命と称されるが,その中身は全く違う。
第一に,革命の思想が違う。
清教徒革命の思想は,「神の主権」を求めるジャン・カルヴァンの神学だった。
フランス革命の思想は,「人民主権」を求めるジャン・ジャック・ルソーの政治論だった。
ロシア革命の思想は,「労働者階級の独裁」を求めるカール・マルクスの経済論だった。
第二に,理念が違う。
清教徒革命の理念は,「正義」だった。
フランス革命の理念は,「平等」だった。
ロシア革命の理念,というか精神は,「怨恨」だった。
第三に,革命を率いた原動力が違う。
清教徒革命は,「イエス・キリスト」から力を頂いたクロムウェル率いる信仰者たちによって成就された。
フランス革命は,「一般意志」の力に酔った大衆によって成就された。
ロシア革命は,「階級の力」を利用したレーニンやスターリンによって成就された。
最後に,その結末が違う。
清教徒革命に深く影響されたイギリスやアメリカは,世界を先導する大国に成長した。
人権宣言を高らかに謳いあげたフランスは,混乱に混乱を重ねて衰退した。
知識人の虚無主義に祖国を委ねたロシア革命の精神は,旧ソ連や中国の圧制となって人類の良心を害しつつある。
三つのうち,どれが最も成功した革命かは,敢えて言うまい。
それは無粋というものだ。
ただ一つだけ言わせてもらえば,清教徒革命・フランス革命・ロシア革命と時代を経るごとに無神性が強くなり,長期的にみれば害毒を刈り取ることになった,ということである。
読者はよろしく,歴史的文献を自分の眼で漁り,事の真相を確かめられよ。