皆さんこんにちは、桜雪です。

 

今回はタイトルの通り、私が最近興味を持った博物館の展示手法について

紹介していきたいと思います!

 

ご紹介する博物館は

①ソウル 韓国国立中央博物館

②神奈川県 新江ノ島水族館

③気仙沼市 リアス・アーク美術館

の3つです。

 

「いや、1つを除いて全然博物館じゃないじゃん!」

と思われた方も多いと思います。

これからご紹介していくので、一度落ち着いて聞いてください。

 

私は今、放送大学という通信制大学で「博物館概論」という授業を受けています。

その初回授業を受けてびっくり!

 

「博物館というのは、『博物館』のことだけでなく、

水族館や植物園なども広義の『博物館・ミュージアム』です」

 

なので、今回はこの定義に基づいて、水族館なども「博物館」と呼ばせてください。

 

というわけで、さっそく紹介に移っていきます。

 

①ソウル 韓国国立中央博物館

こちらの博物館には、今年の5月に訪れました。

3階に及ぶ、広大な展示室で非常に多くの展示品をテーマ及び時代や地域ごとに展示しています。

 

展示方法も日本ではあまり見られないような、迫力のある展示法で非常に興味深かったです。

 

しかし、これだけではありません。

ここには、半跏思惟像の展示コーナーがあります。

今回私が紹介したいポイントは、この「思惟空間」です。

 

(ぜひこちらのホームページから写真をご覧ください)

 

薄暗く細い静かな廊下を通り抜け、たどり着いた先には…

黄金に輝く半跏思惟像。

 

圧巻です。

 

私がこの広大な博物館の中で最も印象に残ったのは、この空間づくり。

現世から隔絶された、自分に没入できる場所。

まさに「思惟空間」でした。

 

私は仏教徒ではありませんが、この作りには素直に感動し、

半跏思惟像の霊性と、その中にある私たちを見守るほのかな温かみを感じることが出来ました。

 

自分に向き合い、没入して、作品に向き合う。

それがこの場所の伝えたかった本質ではないでしょうか。

 

②神奈川県 新江ノ島水族館

神奈川県藤沢市江ノ島に位置する、新江ノ島水族館。

最近また訪れました。

 

ところで皆さんは、水族館の生き物の中で何が一番好きですか?

私はクラゲです!

 

 

こちらが「えのすい」のクラゲコーナー。

私はこの空間が本当に大好きです。

 

この真ん中のクラゲのモチーフとドーム。

これがクラゲの優雅さや神秘的な面をより効果的に引き出していると思います。

 

さらに、クラゲに対してのキャプションのセンスも逸品です。

 

ただただ説明をするだけではなく、

「この触手に巻かれてみたいとすら思いませんか?」

とクラゲ好きを前面に押した、味のあるコメント。

 

多くの人は笑っていましたが、それだけ愛を感じるコメントに少し感動しました。

 

ちなみに私の推しクラゲはこちらのブラックシーネットルです。

ブラックシーネットル

素敵だと思いませんか?

 

インスタもあるので、是非素敵な写真をたくさん見てくださいね!

 

③気仙沼市 リアス・アーク美術館

最後は授業で取り上げられていたリアス・アーク美術館。

訪れたことはないので、

授業で取り上げられていたことを参考に思ったことを書きます。

 

東北地方のアーティストの方々の絵画や彫刻、

そしてそれに縛られない様々な作品を展示しているとのこと。

 

また、気仙沼という土地柄、東日本大震災に関する展示も行っています。

 

※ここからは東日本大震災に関する話題、そして放送大学の授業の話題です。

 

東日本大震災についての話題に抵抗がある方はお読みいただくのをお控えください。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

 

また、放送大学の規定にこの投稿が引っかかってしまう可能性もあります。

私のほうでもなるべく具体的に書かないように注意しておりますが、

もし問題になる点にお気づきの方がいらっしゃいましたら、

お知らせいただけますと幸いです。

その場合は、該当部分を削除して再投稿いたします。

 

 

リアス・アーク美術館に関しては2つ紹介したい点があります。

1つ目は、作品に対するこだわりです。

もちろんどの博物館も、メッセージをもって、

それを伝えるためにオリジナルの企画や、空間にこだわりを持っています。

リアス・アーク美術館の学芸員の方のお話(授業内の)を聞いて印象的だったのは、

「彫刻などの立体作品は、照明の当て方ひとつで見え方が変わってしまう。

なので、照明にはとても気を使っている。

 

また、作品を作った人の意図がより伝わるように、

できるだけパーテーションを設けず、壁とのスペースを考え、

より制作者の意図を反映するように展示を行っている。

 

さらに、客観的な作品の説明だけのキャプションはもともと付けたことが無い。

その作品を見て、学芸員自信が感じた主観をキャプションに入れ、

それをもとに来館者と対話していく。」

この3点です。

 

批判するわけではありませんが、

①で取り上げた韓国の博物館では、展示ケースの圧で、

なかなか近くで作品を鑑賞するのが難しいという印象がありました。

私はまとまりやグループを意識することも大事ですが、

一つ一つの展示物をじっくりと鑑賞したかったので、よりそう感じてしまいました。

 

なのでパーテーションを設けず、近くで作品を鑑賞することが出来る、

というのはとても魅力的に感じました。

(この話に関連して、フランスの博物館と韓国の博物館、

そして日本の博物館の比較で記事を書きたいと思います)

 

「博物館では伝えたいメッセージがある」というのはもちろんですが、

その製作者が作品に込めた思いと一致しているのか?

と疑問に思っていた部分もあったので、

このお話は個人的にその疑問に答えてくれているように感じました。

 

少し話は逸れますが、

神奈川県川崎市に作者と話すことのできるアート展をやっているそうです。

ニュースで少し見ただけなので、詳細は不明ですが、

作者と話すことが出来るという機会はそうそうなく貴重だと思います。

 

私は別のプラモデルの展示をやっているところで

作品に投票したり、作者の方と会話をするという経験をしましたが、

その作品から伝わってくる愛や主張を感じ取り、

それを共有したり、確認して話を聞くことが出来るというのは貴重で面白く、

短い時間でしたがとてもためになる経験だったな。と思いました。

(これについても比較の記事で触れたいと思います)

 

話を戻して、リアス・アーク美術館について。

2つ目にお伝えしたいことは東日本大震災に関するユニークな展示です。

気仙沼という土地柄、美術館も津波の被害を受けました。

そして、その体験を展示として残しています。

 

ここでも学芸員の方々の主観で写真を撮り、

被害の状況や街の状況について紹介をしていたり。

津波で流されてしまった持ち帰れるもの。

いわゆる「がれき」と呼ばれるものを「被災物」として展示していたり。

 

写真に添えられたキャプションには

学芸員の方がその街で住み、過ごしていたのに失われてしまったもの、

そして写真など形で取り戻したものについて文章で主観的に説明されています。

来館者にも主観的に、自分事としてとらえてもらうための工夫です。

 

そして被災物の展示には、展示上あまり使われない、

麻袋やビニール袋を敷いたり、それにくるんだりして展示。

品名は赤いカードにかかれ、はがきを模した紙にキャプションが書かれています。

 

キャプションの付け方も特徴的で、堅い文章にするのではなく、

話し言葉で、実話をもとにした架空のストーリーを書いて説明しています。

流されたパソコンであれば「仕事でもプライベートでも使っていたので、困る」

といったような具合に。

 

このように、展示を自分事として捉えられるような展示方法、

空間づくりというのはユニークですが、

本来の博物館のあるべき姿を表している気がします。

 

他にも興味深い授業回が多いので、是非紹介したいぐらいなのですが…

放送大学の「博物館概論」、関心のある方は視聴してみることをお勧めします。

 

というわけで、長い記事となってしまいましたが、お読みくださりありがとうございました。

この記事が、少しでも学びや、好奇心を刺激するきっかけとなりましたら幸いです。

 

それではまたお会いしましょう!

ありがとうございました~