【真面目に現代文〔11〕】読解「超」基礎編 第11回 「対比」を捉えよう⑥
この記事では、国語〔現代文〕、中でも【評論文】の読解する上での「超」基礎的読解法について【真面目に】解説していきます。
(こちらの記事は【真面目に現代文】読解「超」基礎編 第11回 「対比」を捉えよう⑥ をリニューアルしたものをアップしております)
前々回の第9回(対比④)と前回の第10回(対比⑤)では、〝対比〟されるものは、実は多くは決まっている?! ということで、
・「日本」と主に比べられるのは 「ヨーロッパ(=西欧)」である:第9回(対比④)
・「近代」と比べられるのは、「前近代」(主に「中世」)である:第10回(対比⑤)
という点についてお話しいたしました。
今回は、もう一つ、よく比べられるものの〝定番〟について紹介していきたいと思います。
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第11回 なぜ「対比」が〝大切〟なのか?⑥~〝対比〟されるものは、実は多くは決まっている ?! ③ ~
〝色〟を使い分けていますが、それぞれの〝色分け〟に意味がございますので、その点に注意をしながら読んで頂けますと、わかりやすいと思います。
1 人間には2つの〝ものの捉え方〟がある !?
ということで、タイトルに「人間には2つのものの捉え方がある」と記しましたが、その2つとは何でしょうか?
そこで、次の2つの例文の〔 〕に、頭か心かの、いずれかの当てはまることばを考えてみてください。
①数学の問題を解くとき〔 〕を使って、考える。
②あの映画は〔 〕から感動した!
はい、その通り。①は〔頭〕、②は〔心〕ですよね。
このように、人間には、〔頭〕と〔心〕の2つのものの捉え方があるのです。
2 「頭」と「心」=「理性」と「感性」
人間の、〔頭〕と〔心〕の2つのものの捉え方、
これを少々難しく言いますと、①が〔理性〕、②が〔感性〕といいます。
これをさらに難しく言いますと、①が〔ロゴス〕、②が〔パトス〕といいます。
3 「ロゴス」vs「パトス」の〝二項対立〟が3つ目の定番
この、①〔理性=ロゴス〕と、②〔感性=パトス〕の〝対比〟が定番の3つ目です。
ちなみに、この①〔ロゴス〕と②〔パトス〕と言う語は「ギリシア語」です。
①の〔ロゴス〕という語から派生したのが、英語の「論理(的)」「理論(的)」という意味の〝logic〟〝logical〟です。
ちなみに、②の〔パトス〕ということばですが、「新世紀エヴァンゲリオン」の、あの有名なオープニング曲『残酷な天使のテーゼ』にも登場します。
♪残酷な天使のテーゼ
♪窓辺からやがて飛び立つ
♪ほとばしる熱いパトスで
♪思い出を裏切るなら
♪この宇宙を抱いて輝く
♪少年よ 神話になれ
②〔感性=パトス〕が「熱く」「ほとばしる(=勢いよく飛び散る・激しく噴き出る)」のですね。奥が深い……!。
※ちなみに①〔理性=ロゴス〕の関連語は「冷静」です。
4 「ロゴス」vs「パトス」の〝対比〟パターンを覚えよう !!
★ここで〔理性=ロゴス〕VS〔感性=パトス〕の〝対比〟の定番をいくつかご紹介いたしましょう。
●日本人は心(=感性)で「自然」を愛するが、欧米人は頭(=理性)で「自然」を支配する。
~自然「共生」(東洋的自然観)と自然「支配」(西洋的自然観)の〝対比〟~
●日本人は心(=感性)で感じることが得意だが、欧米人は頭(=理性)で考えることが得意だ。
~「感性(パトス)」と「理性(ロゴス)」の〝対比〟~
●日本人はチームプレーで心を一つにするが、欧米人は個人個人の頭脳プレーを大切にする。
~「集団主義」と「個人主義」の〝対比〟~
●日本人はものごとを(心で)〝曖昧〟にすまそうとするが、欧米人はものごとを頭(=理性)で〝はっきり〟させようとする。
~『あいまいな日本の私』 by大江健三郎(ノーベル文学賞受賞作家)~
●近代は頭(=理性)で「自然」を観察・対象化し、支配するようになる。
~「自然科学」「自然哲学」~
●近代は〝頭〟(=理性)で考えるようになる。
~「(近代)合理主義」~
●近代は理性をもった(考える)〝人間=個人〟の存在を第一と考えるようになる。
~「人間(中心)主義(=ヒューマニズム)」「個人主義」~
●近代は〝頭〟(=理性)で〝神〟を疑うようになる。
~「脱呪術化」「脱コスモロジー」~
●近代は〝頭〟(=理性)でものごとを〝はっきり〟させようとする。
~「論理性」「合理性」の重視・非合理の排除~
このように、〔理性=ロゴス〕VS〔感性=パトス〕の〝対比〟には、いくつかの〝定番〟がございますので、あらかじめ「知識」として覚えておくのも良いでしょう。
第11回 なぜ「対比」が〝大切〟なのか?⑥~〝対比〟されるものは、実は多くは決まっている ?! ③ ~まとめ
① 人間には、〔頭〕と〔心〕の2つのものの捉え方がある。
② これを難しく言いますと〔理性=ロゴス〕と〔感性=パトス〕の〝対比〟となる。
③ 〔理性=ロゴス〕VS〔感性=パトス〕の〝対比〟の〝定番〟ネタを覚えておくと、文章読解で役に立つ。
(例)日本人は心(=感性)で「自然」を愛するが、欧米人は頭(=理性)で「自然」を支配する。
このように、第9回(対比④)~第11回(対比⑥)と3回にわたって〝対比〟の〝定番〟ネタをみてまいりましたが、実はこの3つの対比には〝関連性〟があるのです。
その3つの対比の〝関連性〟について、次回(第12回)(「対比」⑦)の記事で紹介したいと思います。
最後までありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。