読解「超」基礎編 第3回 「逆接」に着目しよう③
この記事では、国語〔現代文〕、中でも【評論文】の読解する上での「超」基礎的読解法について【真面目に】解説していきます。
(こちらの記事は【真面目に現代文】読解「超」基礎編 第3回 「逆接」に着目しよう③ をリニューアルしたものをアップしております)
〝「逆接」のあとに筆者の主張が書いている〟という話は、1度は聞いたことがありますよね。
第1回では〝「逆接」のあとに……〟の「法則」を使いこなすための、約10種類の「逆接」の接続語を紹介いたしました(ざっくり〝前後「逆」関係になる言葉(語))。
第2回では、なぜ逆接の後は〝強調〟される!、ということで、それは「譲歩」と「逆説」の関係に理由がある、いうところにまで触れました。
今回は、その譲歩と逆説の関係、すなわち【譲歩-逆説構文】ついて、考えていきたいと思います。
この【譲歩-逆説構文】って、名前からして難しそうですが、その原理がきちんと理解できると、なぜ逆接の後は〝強調〟されるのか!?、という理由もわかってきますので、しっかりとマスターしていきましょうね。
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第3回 なぜ「逆接」のあとが〝大事〟なのか?③~譲歩と逆説の関係~
〝色〟を使い分けていますが、それぞれの〝色分け〟に意味がございますので、その点に注意をしながら読んで頂けますと、わかりやすいと思います。
皆さん、「譲歩」や「逆説」という言葉を聞いたことはございませんか?
聞いたことがあるという方は相当の〝優等生〟ですね。
ちなみにここでの「逆説」は「説」の方の「逆説」です。英語(カタカナ語)では「パラドックス(paradox)」といいます。
1 「譲歩」ってなに?
では、まず〈譲歩〉(じょうほ)の意味から説明いたしましょう。
〈譲歩〉とは「自分の意見・主張をいったん引っ込め、自分とは異なる(逆の)意見・主張をいったん認める」ことです。
すなわち、〈譲歩〉とは、自分とは異なる相手を認めることなのです。
そこで、前回の〔例文〕をもう一度ご覧下さい。
・雨が降ったみたいだが、洗濯物はそれほどぬれなかった。
ここで、言いたいことは(あえて言うならば)、
「えっ、雨が降ったみたいだよー!」ではなく、「ラッキー、洗濯物ぬれなかったよー!」ということでしたね(逆接「だが」の後がPOINTでしたね)。
でも、自分の意見とは異なり、「雨が降ったみたいだよー!」という意見を重要視する人が中にはいるかも知れません。
そういう相手に対し、「たしかに雨が降ったみたいだねー」といったん認めてあげるのです。
このように「自分とは異なる(逆の)意見・主張の相手いったん認める」ことを〈譲歩〉といいます。
2 「譲歩」しっぱなしでよいの?
〈譲歩〉とは、相手を認めることでした。しかし、相手を認めっぱなしで良いのでしょうか?
評論文はあくまでも自分自身の「主張」を論ずるものでしたよね。
したがって、上記の例文も、「しかし、洗濯物ぬれなかったよー!」とくつがえすのです。
このように、
自分とは異なる「雨が降ったみたいだよー!」の意見・主張に対し、「逆接」を用いてひっくり返し、「でもねー、洗濯物ぬれなかったよー!」という自分の意見を主張するのです。
3 「譲歩」と「逆説」の関係
このように
「自分の意見・主張をいったん引っ込め、自分とは異なる相手の意見・主張をいったん認める」、すなわち〈譲歩〉した上で、〈自分の意見を主張する〉、このパターンを【譲歩-逆説構文】と一般的にいいます。
ここでのPOINTは、「譲歩」しっぱなしで終わることは基本的にないということです。
4 〈譲歩〉を導く言葉を覚えよう!
では、ここで〝〈譲歩〉を導く言葉(語)〟を覚えておきましょう。
・たしかに もちろん なるほど もっとも 普通は 一般(的)に など言葉(語)のがございます。
どれも、「相手を認める言葉」になりますよね。
※「普通は」「一般(的)に」は、「通説(一般論)」を譲歩する語として用いられます。
5 「譲歩」のあとには〝自然〟と「逆接」がくる ?!
では、上記の〈譲歩〉を導く語を使って、一度〈短文〉を作ってみましょう。
(例)「たしかに(もちろん)君の言うことは正しい。……………………」
そうですよね!「たしかに(もちろん)君の言うことは正しい」で終わってしまうのは、何か変ですよね。
このあとに、「しかし」などの逆接の言葉を用いて、「自分は……………だ!」と、「主張」してしまいますよね。
〈譲歩〉を導く「たしかに」や「もちろん」の後には、自然と「逆接」の言葉がきて自分の意見を言ってしまいますよね。
これを【譲歩ー逆説構文】といい、〈譲歩〉後の、「逆接」のあとが〝強調〟される理由なのです。
なぜ、わざわざ「自分とは異なる意見・主張を一旦認め」〈譲歩〉させるのか?、についての解説はここでは省略させて頂きます。(どこかでお話する機会がございましたら、お話しさせて頂きます)
6 譲歩-逆説は〈小論文〉の〝テッパン〟
この【譲歩-逆説構文】は、〈小論文〉を書く際にも役立つ構文でございますので、知っていて〝損〟はございません。
ただし、〝ガチガチ〟の譲歩-逆説パターンはおすすめいたしません。どこかで〈小論文〉のお話をする機会がございましたら、お伝え致します。
第3回 なぜ「逆接」のあとが〝大事〟なのか?③ ~譲歩と逆説の関係~まとめ
① 〈譲歩〉とは、自分とは異なる相手を認めること。「自分とは異なる(逆の)意見・主張の相手いったん認める」こと。
② 基本「譲歩」しっぱなしはありえない。
③ 【譲歩-逆説構文】 …相手をいったん認め、「逆接」でくつがえし自分の意見を主張するパターン
④ 〈譲歩〉を導く言葉を覚えよう!(「たしかに」「もちろん」など)
⑤ 〈譲歩〉の後には、自然と「逆接」の言葉がくる→これが「逆接」のあとが〝強調〟される理由
⑥【譲歩-逆説構文】は〈小論文〉の〝テッパン〟
実は、「逆接」語には上記の役割以外にも、もう一つ「役割」があるんですよね。
次回(第4回)の記事では、「逆接」のもう一つ「役割」について紹介したいと思います。
最後までありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。