街角で見かけた銅像 | 【 未開の森林 】

街角で見かけた銅像

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昨年の夏、ロシア・サンクトペテルブルクの公園で撮影した作家プーシキンの像です。

ロシア近代文学の代表的な存在として、戯曲や小説のほか、膨大な数の詩を残したアレクサンドル・プーシキンは、1837年に同市で亡くなりました。情熱的なロマンチストとして知られ、妻を口説こうと言い寄ったフランス人の男爵に決闘を挑み、拳銃に撃たれて死亡した彼の最後は有名です。死後、彼の作品の多くはロシア人の作曲家達によってオペラにされました。またプーシキンがまとめたロシア民話の選集は現在に至るまで読み継がれており、彼は今でもロシア人に親しまれている国民的な作家です。

その生涯で幾度もの恋愛事件を起こした彼は、愛人の女性達に宛てて美しい詩を書き送っています。僕が現在の彼女と付き合い始めた頃、恋心を詠んだプーシキンの詩をメールで送ってくれたのを思い出します。また彼女の友人で、同じくロシア人の女性が、あるパーティーでプーシキンの長い詩を暗唱したこともあります。彼のロマンチックな詩は、数世代を通してロシアの女性たちの心に響いているという印象がありました。

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こちらはモスクワのアルバータ通りにある、プーシキンと彼の妻ナターリアの銅像です。

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貴族の血をひく美麗なナターリアと、貧乏詩人で恋愛主義者のプーシキンとの間に芽生えた情熱的なロマンス。そして、彼はその愛を守るために恋敵の銃に倒れた。時が経つにつれて、その出来事は人々の心の中で伝説と化したのだと思います。

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モスクワ郊外にある二人の銅像。国民に愛されたカップルといったところでしょうか。

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【追記】

モスクワのある駅では、紳士風でお洒落な身だしなみのプーシキン像の前に、赤いバラの花束が添えられていました。写真を撮ろうとしたのですが、後ろから警備員に呼び止められ、結局は数百ルーブルの罰金を払わされました。銅像の後方の目立たないところに、撮影禁止の小さな標識があったのです。

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日本では最近の作品で、妻ナターリアを主人公として、プーシキンとの結婚、フランス人のダンテス男爵との出会い、彼らの決闘、プーシキンとの死別までのストーリーを描いた、「ブロンズの天使」という少女漫画の連載があるそうです。どこまで理想化され、美化されているのか、ほんの少しだけ気になります。