モスクワの印象【6】 | 【 未開の森林 】

モスクワの印象【6】


赤の広場の南側にある聖ヴァシーリー大聖堂は鮮やかな色彩と奇抜な建築様式で、一度見ると忘れられない強烈なイメージを持つ建物です。世界的に有名な大聖堂だけあって、モスクワで見た建築物の中で最も印象深かったです。

この大聖堂の名前は、雷帝と呼ばれるモスクワ大公イヴァン4世の時代にいたヴァシーリー・ブラジェンヌイ (Vasily Blazhenny) という聖人に由来します。


中世末期のロシアでは「ユロージヴイ」という苦行者の一種が流行しました。「聖なる愚者」とも呼ばれた彼らは、福音の言葉を文字通り実践するために俗世の価値観を捨て、一切の財産を持たずに裸に近い格好で街中を歩きました。その奇行は皇帝や貴族に対する無礼な振る舞いにも至りましたが、ロシア正教に認められた聖者として罰せられることはありませんでした。ユロージヴイは特別に神からの英知を授かったと信じられており、奇跡や預言を行ったと言われています。


そうしたユロージヴイの1人であったヴァシーリー・ブラジェンヌイは、当時のモスクワの民衆から人気を集めたばかりでなく、雷帝夫妻にも深く敬われていました。そして彼が亡くなった後、遺骸が葬られた聖堂が「聖ヴァシーリー」と呼ばれるようになりました。


皇帝イヴァン4世の肖像

ヴァシーリー大聖堂を設計したのはポストニクとバルマという2人の建築家で、聖堂の出来栄えがあまりにも素晴らしかったため、イヴァン雷帝は「二度とこんな美しい建築物ができないように」2人の目をつぶさせたという伝説があります。

最後に、ウィキペディアで見つけた聖ヴァシーリー大聖堂の写真を・・・。