経済学者であり、政治家としても活動する竹中平蔵氏が、東洋経済でのインタビューで次のように述べました。

 

「(若い人に1つだけ言いたいのは)みなさんには貧しくなる自由がある」「何もしたくないなら、何もしなくて大いに結構。その代わりに貧しくなるので、貧しさをエンジョイしたらいい。ただ1つだけ、そのときに頑張って成功した人の足を引っ張るな。」

 

この意見は若い人に対して一体どんなメッセージを伝えようとしているのでしょう?

 

1. 貧困の自由は自己責任論の誤り

 

この意見は、貧困になった場合は自己責任であるかのように受け取ることができます。しかし、現実には貧困は単なる自己責任だけで解決できる問題ではありません。経済的な条件や社会的背景によって、貧困に陥る人々の選択肢は限られています。貧困は複雑な問題であり、単純な自己責任論で片付けることは現実を無視していると言えます。

 

2. 経済的リスクと将来への影響

 

若い人たちは将来に対して多くの希望や夢を抱いています。しかし、何もしないことで貧困を「エンジョイ」するというアドバイスは、彼らの将来に対して非現実的で危険なメッセージとなります。経済的リスクを無視して貧困を楽しむことは、将来の安定性や幸福に対する深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

3.社会的連帯の欠如と協力の重要性

 

この意見は、個人主義的なアプローチを強調していますが、社会的連帯や協力の重要性を無視しています。貧困や社会問題の解決には、個人だけでなく社会全体の協力が必要です。成功した人々が他者を支援し、社会的な問題に対して積極的な役割を果たすことが、より良い社会の実現につながります。

 

次に、この意見の論理について考えてみましょう。この意見は、「何もしなくて大いに結構」と「貧しくなる自由がある」という二つの主張を結びつけています。しかし、これらの主張は必ずしも一致するものではありません。実際には、「何もしなくても貧しくならない」場合や、「何かをしても貧しくなる」場合もあり得ます。例えば、「何もしなくても親や社会から援助を受ける」場合や、「何かをしても競争や不運に敗れる」場合です。また、「貧しさ」の定義や基準も人それぞれ異なります。例えば、「お金が少なくても幸せだ」と感じる人や、「お金が多くても不幸だ」と感じる人もいます。したがって、「何もしない」と「貧しくなる」という関係は一般化できるものではなく、個々の事情や価値観によって変わります。

 

私は、この意見に一部同意しますが、一部異論があります。私は、「自分の人生は自分で決めることができる」という自由を認めることに同意します。私も、「頑張って成功した人の足を引っ張る」ことは絶対にしてはならないと思います。しかし、私は、「何もしたくないなら、何もしなくて大いに結構」という考え方には賛成できません。私は、「何もしない」という選択は、自分だけでなく、周りの人や社会にも影響を与えると思います。例えば、「何もしない」ということは、「自分の能力や才能を発揮しない」ということでもあります。それは、「自分が持っている可能性を無駄にする」ということでもあります。それは、「自分が貢献できる価値を創造しない」ということでもあります。私は、それらのことは非常にもったいないと感じます。私は、「何もしない」ことよりも、「何かをする」ことの方が、自分にも他人にも社会にも良い影響を与えると信じています。私は、「何かをする」ことで、「自分の人生に意味や目的を見出す」ことができると思っています。私は、「何かをする」ことで、「自分の幸せや満足を高める」ことができると考えています。私は、「何かをする」ことで、「自分の成長や発展を促進する」ことができると期待しています。

 

最後に書いておくと、竹中平蔵氏には以下の批判があります。

 

1. ネオリベラリズムへの偏重

 

竹中氏はネオリベラリズム(市場原理主義)を重視しており、経済政策においても市場の自由化や規制緩和を提唱しています。しかし、ネオリベラリズムは格差拡大や社会的弱者への配慮不足を招くとの批判があります。一部の批評家は、竹中氏の主張が経済的な自由と社会的な公正のバランスを欠いていると指摘しています。

 

2. 財政赤字削減への批判

 

竹中氏は財政再建を強く主張し、財政赤字削減を重要視しています。しかし、財政赤字削減が経済成長や雇用に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。特に景気の低迷期において、過度な財政出費の削減が景気の回復を阻害する恐れがあるという意見があります。

 

3. 公共事業や社会保障への見解

 

竹中氏は公共事業や社会保障の拡大に否定的な立場をとることがあります。しかし、公共事業は景気対策や雇用創出に重要な役割を果たすとの意見があり、社会保障の削減は弱者への支援を不十分にする恐れがあるとの批判もあります。

 

4. グローバリゼーションへの前向き姿勢

 

竹中氏はグローバリゼーションを推進する姿勢を取っていますが、これには国内産業の衰退や雇用悪化といったリスクがあるとの批判があります。一部の批評家は、竹中氏のグローバリゼーションへの前向きな姿勢が国内産業の保護や雇用の確保に対する配慮を欠いていると指摘しています。

 

5. 政治家としての姿勢に対する批判

 

竹中氏は自民党の要職を歴任し、政治家としても活動しています。彼の政治家としての姿勢や政策に対しては、一部の批評家から反対意見が出ています。特に、竹中氏の経済政策に対するリベラル派や労働者層からの批判が強いとされています。

 

まあ、私なんか、小泉首相と二人三脚で日本経済の凋落に一役買ったという印象しかありませんが。

 

では