今日は今まで何度か触れた橘玲氏の著書「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」に書かれていた「 返報性 の原理」を取り上げます。

 

橘氏は、同著書で故・赤尾敏氏とのエピソードを語っています。


赤尾敏氏とは右翼活動家で衆議院議員、そして、大日本愛国党初代総裁だった人ですね。


橘氏は、赤尾氏に記者としてインタビューしたことがあるのですが、彼が1989年に参議院議員選挙に立候補した際に、その思想を支持していないにも関わらず投票したのです。


橘氏は長い間それがなぜかわからなかったのですが、あるとき社会学者ロバート・B・チャルディーニの著書「影響力の武器」を読んで気がつきます。


橘氏は、インタビュー後に赤尾敏氏に寿司をご馳走されたのです。


そしてそのために無意識のうちに 返報性 の原理が働き、投票に至ったというわけです。


それでこの 返報性 の原理ですが、どのようなものか説明しましょう。


簡単にいうと、誰でも他人から何らかの施しを受ければ、お返しをしなければならないという感情を抱きますよね、このときの心理のことです。


上記の社会学者チャルディーニは、ハレー・クリシュナ協会の募金集めを例に上げています。


ハレー・クリシュナについては、最近はあまり見ませんが、剃髪して変わった格好をした男女の集団が街頭で歌い踊る姿を覚えておられる方もいらっしゃるでしょう。


ただ、本筋には関係ないのでこれ以上詳しくは書きません。


それで、彼らは空港や駅前のような人通りの多いところで、通行人の手にいきなり花を押し付けたり、ピンで上着に留めたりしていました。


通行人は当然「こんなものいらない」と抗議しますが「いいえ、これは私たちからのプレゼントです」と言い張って返すことを許さないんですね。


その上で「恩人から乞食に変貌」して協会への寄付を求めるわけです。


チャルディーニは空港で一輪の花を思わず受け取ってしまったビジネスマンを目撃します。


彼はその花を返そうとしますが、どうしても受け取ってもらえません。

 

「明らかに男性の顔に迷いの色が浮かぶ。この花をもって、何もお返しを与えることなしに立ち去ってしまうべきか。それとも、深く根付いている 返報性 のルールの圧力に屈して、何がしかの寄付をすべきだろうか?今やこの迷いの気持ちは、顔だけではなく姿勢にも表れている。相手から少しでも離れたいかのように身を反り返したかとおもうと、今度は 返報性 のルールの力で引き戻される。もう一度離れようとするが、駄目。どうしてもその場を後にすることができない。男がポケットを探り一ドルか二ドルを取り出して渡すと、相手は丁重に受け取る。これで、やっと自由になれる。実際、自由になって男は『贈り物』を手に歩きだす。そして、ゴミ箱を見つけると、手にしていた花をポイっと投げ捨てた。」(「影響力の武器」)


もちろん、多くの人はまったく無視して、寄付なんかまったくしないのですが、それでも、この単純な戦略によって、ハレー・クリシュナ協会は大成功を収め、寺院、事業、建物を所有し、アメリカ国内および外国に108箇所もの協会支部を開設しています。


もう一つ身近な例を上げると、デパチカでの試食があります。


試食は本来、無料で食品を提供し、その味を客が確かめ、購買に値すると判断した場合に買ってもらうプロモーション戦略のひとつです。


しかし、客は店員から直接食品を手渡されることによって、味が良いかに関わらず商品を買わなければいけないという気持ちになってしまうわけです。


このように非常に効果があるために、この原理を利用し、小さな貸しで大きな見返りを得る商業上の手法が広く利用されています。


まあ、デパチカの試食くらいなら罪はないですが、投資なんかでも悪用されることがあり、こちらは大金を失う可能性がありますから注意が必要です。


ただ、 返報性 の原理を抑えることもできます。


「例の原理」が働いていると気がつけばいいんです。


それだけである程度ブレーキをかけられます。


もし返報したい気持ちが残っていたら、少額の寄付でもしてください。


恩を受けた相手ではなく、別の人に「恩送り」(前に取り上げました)するわけですね。


これでまず解決できるでしょう。


では

 

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