突然ですが、「百匹目の猿現象」をご存じでしょうか。
英国の植物学者・動物学者・生物学者・人類学者・動物行動学者(すごい肩書ですね)ライアル・ワトソンが著書「生命潮流」で唱えた説です。
以下に簡単に説明します。
宮崎県串間市の幸島に棲息する猿の一頭がイモを洗って食べたところ、美味しかったので習慣にしました。
周りの猿も段々とこれを真似るように。
そして、その数が閾値(ワトソンは仮に100匹としています)を超えた時、その行動が群れ全体に広がりました。
さらになぜか場所を隔てた大分県高崎山の猿の群れでも突然この行動が見られるようになったんですね。
ここからワトソンは、「ある行動、考えなどが、ある一定数を超えると、これが接触のない同類の仲間にも伝播する」と結論しました。
この説を上記の経営コンサルタントが著書で紹介し、人間にも同様の現象が存在すると主張しました。
「ある一定の人数が、特定の意見を正しい、と判断すると形の場ができ、そして、一定の人数がエネルギーのフィールドを作り、ほかの人々に影響をあたえる。
これを『形の場による、形の共鳴』と呼ぶ」
さらに、「100人が変われば、世界が変わる。
1億人や100億人を動かす必要はない。
たった100人の同志を集める事で、日本はもっと良い国になります。
いや、良い国にする事ができる」
どうです、何となく説得力があるでしょう。
ところが、ワトソンが語った「百匹目の猿現象」はまったくの創作だったのです。
彼は学者なのにこうした作り話が大好きで他にも有名なのがいくつかありますが、スペースの関係で今回は紹介しません。
とにかく根も葉もない嘘だったわけです。
そうすると真っ赤な嘘に乗っかって作り上げられた日本の経営コンサルタントの話も一気にあやしくなります。
世の中にはこうしたいかにももっともらしい話が沢山あります。
そして、そこから一見良さそうな教訓が導き出されることも結構あります。
しかし、「百匹目の猿現象」のようにとんでもないものも少なくないので、注意してください。
特に、精神論に向かう話には、眉に唾をつけたほうがいいでしょう。
追記:実は、今日の文章はPCの操作ミスからまるまる消えたものを思い出しながら書き直したものです。
しかし、記憶力が不自由なために、かなりの部分が抜けたままなので、いつもより短くなっています。
誰も気にしないと思いますが、一応、お詫びします。
では