少々前のことになりますが、テレビで右脳天才少年対東大OBクイズ対決といった番組をやっていました。

 

東大OBはいいとして、右脳天才少年とは何かと云うと、フラッシュ記憶、速読、速聴が上手い少年たちのことでした。

 

フラッシュ記憶とは絵と単語を書いたパネルを30枚程度、連続で一瞬だけ見せてすべて覚えさせるものです。

 

東大OBであろうと、普通の大人は全然できませんが、訓練を受けた子供は難なくやりとげます。

 

速聴は、本の朗読を録音したものを4倍の速度で聞き理解します。

 

これも普通の人にはまったく聞き取れません。

 

速読はみなさんご存知でしょう。

 

これらの技術を身に付けることによって、右脳人間になれるとのことです。

 

クイズ自体は、問題「ソラの上には何があるでしょう」、回答「シド」といった他愛のないものでした。

 

しかし、これではこれらの少年たちが本当に優れているかどうかはわかりません。

 

にも係わらず、テレビの大げさな表現はいつものこととは言え、彼らを右脳天才と呼んでいたんですね。

 

しかし、私にはよく訓練された動物のようにしか見えませんでした。

 

単に特殊な技術に長けているだけなのではないでしょうか。

 

大体、フラッシュ記憶、速聴、速読など、実際にどれだけ役立つのか疑問です。

 

その効果が具体的に証明されたことなどないでしょう。

 

素晴らしい業績を残した研究者や企業人、アーティストにこうした訓練を受けた人間がいるなんて話は聞いたことがありません。

 

本来、天才とは育てるものではなく、生まれるものです。

 

それを見出し、十分に伸ばすことができるように、環境を整えることは必要であっても、平凡な能力しか持たない子供を天才に変えることなどできるはずがない。

 

要するに、世の中には子供を天才にしたくて、何にでも飛びつく親が結構いるから成り立っている商売にすぎないのではないでしょうか。

 

では。