私は医療ドラマが好きでよく見ます。

 

ただ、日本のものはウェットに過ぎることが多いのでもっぱらアメリカの作品ですが。

 

中でも昔、はまっていたのが「グレイズ・アナトミー」ですね。

 

これはいわゆる長寿ドラマで2005年にスタートし、今でも続いています。

 

ところで、このドラマではご多分にもれず告知の問題が取り上げられます。

 

ガンやその他の死病、最近では半陰陽の女の子(男性性器と女性性器を持っている)などケースがありました。

 

それで感じたのですが、一般的に言って、アメリカでは告知に関する考え方が日本とかなり違うようです(このドラマだけで判断しているわけではありません)。

 

私の記憶に残っているのは、深く愛し合っている老夫婦(70代)の妻のほうに末期ガンとが発見されたエピソードです。

 

夫は妻を苦しませたくないから、妻には知らせないでくれと担当医に頼み、それを知らない妻は夫が悲しみに耐えられないから、夫には言わないでくれと頼むんです。

 

二人とも相手のことを心底から思っているんですね。

 

この夫婦愛は美しいと思います。

 

しかし、医師は、夫に対して、患者にガンに罹っていることを知らせないで治療を行うことはできないと答えます。

 

当然でしょう。

 

日本では過去には本人に告知しない例が結構あったようですが、命の問題は自分以外の誰にも背負うことはできません。

 

たとえその人間が耐えられなくても、他人が肩代わりすることはできないのです。

 

家族や肉親であってもそれは同じで、愛情とは問題の次元が違います。

 

本人に告知しないのは、最近、よく言われるインフォームドコンセント(患者に病状や治療方針を十分に説明して承諾を得ること)の精神にも反しているのではないでしょうか。

 

それから「グレイズ・アナトミー」では半陰陽(インターセックス)の女の子のエピソードがなかなか興味深かったですね。

 

彼女は15才の高校生なんですが、何かお腹にしこりのようなものがあるので、検査を受けたら、体の中に睾丸が発見されるんですね。

 

最初、担当医は両親にこれを話し、彼らは女の子にはショックが大きすぎるから隠そうとします。

 

そして、隠したままお腹のしこり(結局、こちらは良性の腫瘍でした)の切除手術の時に一緒に取ってくれとと頼みます。

 

娘に知らせないで。

 

しかし、医師は昨日のケースと同じで、本人に告知しないで手術をすることはできないと断ります。

 

実はこのケースの場合、本人の意志で男性にも女性にもなれるですね(すべての半陰陽がそうなのかは知りませんが)。

 

当然ながら、その選択は本人に任されます。

 

本人は未成年でもインフォームドコンセントの原則は変らないわけです。

 

それで面白いのですが、事実を知らされた女の子は、両親の心配をよそに男性になれると聞いて喜ぶんです。

 

彼女はそれまで自分自身に何か違和感があって、周りにも溶け込めないと感じていたんです。

 

それで男性になることを決心し、両親もそれを受け入れると云う話です。

 

ところで、この半陰陽は、昔からあったようですね。

 

アンドロジナスと云って(性同一障害と共通している点はありますが、まったく同じものではありません)、神話なんかによく出てきます。

 

それにアンドロジナスは、ファッションの重要なテーマにもなっていて、時代の最先端を行くような感じがあります。

 

まあ、牡蠣やカタツムリのように性転換したり、雌雄同体である動物は自然界にはそれほど珍しくないようですが(人間みたいは高等生物にはいません)。

 

しかし、よく生まれ変わるなら男性がいいか、女性がいいかなんて質問を聞きますが、みんな若い時はアンドロジナスで、 元服みたいに18歳くらいで性別を選ぶようになると面白いでしょうね。

 

では。