以前の私は、キーボードを「入力するための道具」としか見ていなかった気がします。
ちゃんと打てればそれでいいし、使えれば十分。毎日何時間も触れているのに、その存在を意識することはほとんどありませんでした。
でも、仕事を続けるうちに少しずつ気づいたことがあります。
道具って、思っている以上にその日の気分や集中の流れに影響しているんですよね。
朝デスクに向かったとき、自然に手が伸びるかどうか。長く作業したあとに、肩まわりが少し軽いかどうか。小さなことのようでいて、その積み重ねが一日の質を変えていくのだと思います。
ElimkeysでElytraをつくる中で、私たちがいちばん大切にしてきたのも、そういう「毎日の感覚」に近い部分でした。
派手な驚きをつくることよりも、仕事の時間に静かになじんでいくこと。体に無理が少なくて、それでいて使い始めるのに余計な頑張りがいらないこと。ElimKeys は公式サイトで、快適さ・携帯性・パフォーマンスを両立するキーボードを目指す小さなチームだと紹介していて、Elytra もまた「初日から自然に使える」ことを大切にした製品として語られています。
分離型キーボードに惹かれる理由は、単に珍しいからではありません。
両手を少し自然に開いた位置に置けるだけで、タイピングの感じ方が変わってきます。普通のキーボードだと、知らないうちに手首が内側に入り、肩も少し窮屈になりがちです。Elytra の公開ページでも、従来のキーボードは手首が内側に入りやすく、分離型はより自然な位置に手を置きやすいと説明されています。
ただ、分離型キーボードにはずっと一つの壁がありました。
快適そうではあるけれど、使いこなすまでが大変そう。そこに不安を感じる人は多いと思いますし、私たちもそこを強く意識していました。だから Elytra では、標準的な row-staggered レイアウトを保ちながら、分離型のよさを取り入れる設計が選ばれています。新しい打ち方を覚えるための道具ではなく、いつもの延長で少しずつ体にやさしくなっていく道具にしたかったのです。
実際に使っていて心地いいと感じるのは、特別なことをしている感覚があまりないところです。
「今日はちゃんと姿勢を正そう」と気合いを入れなくても、気づけば前より少し自然な位置で手を置いている。長く作業した日の終わりに、前より少しだけ余計な力が入っていない気がする。そういう変化はとても静かですが、毎日の仕事にはむしろそのくらいの自然さがちょうどいいのかもしれません。
それに、今の働き方はひとつの場所だけで完結しません。
家で作業する日もあれば、オフィスに行く日もあるし、ノートPC、タブレット、スマートフォンを行き来することもあります。Elytra は 420g のフルアルミボディ、有線と Bluetooth の両対応、最大 3 台のデバイス切り替え、Mac・Windows・iOS・Android 対応といった実用面も打ち出していて、そうした今の働き方になじむことが意識されています。
私たちは、キーボードで劇的に人生が変わるとは思っていません。
でも、毎日触れる道具が少しだけ自然で、少しだけ心地よくなることは、たしかに働く時間を変えてくれると思っています。集中の流れを邪魔しないこと。気持ちよく仕事に入れること。使い続けるうちに、前より少しラクだと感じられること。
Elytra は、そういう小さな変化を積み重ねるためのキーボードです。
目立ちすぎず、でも確かに毎日の仕事を支えてくれる。
ElimKeys がつくりたいのは、たぶんそういう道具なんだと思います。