鋼の鎧

 

話し合いをしようというときに、武装するってよくある話だと思う。

 

最初は裸で向き合っているんだけど、

しばらく話をしているうちに、

お互いにファイティングポーズを取るようになって

そして今度は・・・

「あなた、あのとき○○したよね?」

「そっちだって〇〇って言った」

「私は別にそんなつもりなかった」

「過去にも○○ってことがあったじゃない」

「普通はそんなこと考えない」

「私だって○○と思ってた」

「そんなことを思うのはあなただけだ」

「全然私の気持ちを考えていない」

 

そうやって、少しずつ少しずつ武装していく。

厚い厚い鎧で全身を固めていく。

 

まるで機動戦士ガンダムの世界みたいに

ガッチガチの鎧を着て、それでいて

ほら、わかりあおうよ!理解し合おうよ!って。

 

これじゃあ話し合いにならないんだけど

やっぱり自分の話を聞いてほしくて、

どうにかして自分の考えに同意してほしくて。

 

いつも私も、最初は武装していくんだけれど

だんだんとその鎧が重たくなって疲弊してきて、

「よっこらしょと」呟いて、近くのベンチに腰掛けて

もう重たいしくたびれたからどうでもいいよ・・・

こんなにしんどいんなら、どうでもいいよ・・・

そんなモードになってしまう。

 

鎧を着ているから、地べたにペタンと座ることもできない。

 

人間関係って妥協し合うことだと思うけど、

わかり合えていると思ったパートナーだからこそ

わかり合いたいと思うパートナーだからこそ

自分をわかってよ!って武装してから言ってしまうのかしら。