どうして夜はこんなにも やさしい風が吹くんだろう



雨の名残りの闇の中に 初夏の花と土の香り


建物の壁と アスファルトの匂いが微かに混ざってる




自然を背景に人は 人工な日常を送る


そんなあたりまえのことが 


ありがたいことなんだよと


まるで教えてくれているようで





こんなことを考えている夜は


きっと楽しいばかりの一日ではなかったはずだけど


少し冷たい夜の風は


憂いを流してくれるから




夜に ありがとう


風に ありがとうと


どこからともなくなぜかしら


湧き出るように溢れてきて



夜は 素敵だって


風は 素敵だって


どうしてもどうしても


そんなことを伝えたくなって


風に





見上げた空に星はないけれど 


ぼんやりした宙に


姿もなく過ぎ去ってゆく風を


見送りながらただただ




また会えるよねと


めぐりめぐる 生きる、


ということを


また考えてしまいながら・・・