あたたかい季節に向かう今頃の時期からは

夜のレッスンが終わると上の階のテラスに出てみる

一人で、ときには、お迎えの車を待つ最後の時間帯の中高生と、

手すりにもたれ掛かり並んで、道の角から現れる車の姿を待つ・・・



そんなとき、時々、

「秘密だよ」っていう話をしてくれる

可愛くって仕方ない。

そんな時間は私のとても大切な時間だ・・・




闇の中、車の音が近づき外灯が照らし出す色を確かめると、

あっ、と・・・ どちらからともなく叫び

急いで階段を駆け下りる、時にはむきになって競争・・・




じゃあね、と、玄関で見送って

そのままリビングに行くことが多いけれど

テラスへの扉を閉めずに下りてきたら

もう一度階段を上って閉めにいかなくっちゃいけない


そんな時は大抵、そのついでに、

ってわけでもない感じで、

また外に出てしまう・・・



角を曲がっていく車が見える時もある

そんな時、自分の駆け上がった速度に達成感・・・笑



今日はそんな夜だった・・・







夜にそよ吹く風は もう初夏の匂いがする

青い樹の香り・・・ 微かな土とアスファルトと、

甘い花の香り・・・ 柑橘系の清々しさが混ざってる







この世には大きな、

二つの流れがある・・・


なあんてそんな、

なぜか急に改めて、

なんとなく感じてしまうのは決まって、

夜の静けさの中だ・・・



きっと風が そう想わせる



テラスの扉がその世界を分けるように

外から部屋を振り向くと微睡む灯りがある・・・







月の導きに 風は凪ぎ

遥か見わたす彼方は 湖上の静寂・・・


しんとした空の渚 

光の波が仄かに打つ・・・






気持ちがひとつひとつ

闇に溶ける気がするのは

大気が透明なまま

渦を描いて流れてゆくから・・・?




静脈の鼓動が 波打つような夜の調べ・・・







最後のレッスン曲は今日の夜に似合います

そんな想いから綴ってみたよしなしごとと共に・・・
     

     

     
     
     
     ブラームス ラプソディ2番 (Op.79 No.2)



        ※なぜかこの曲はリリー・クラウスの演奏で思い出す
           最後の来日の時だったのかなぁ・・・
           訃報を聞いたのはこの後僅か数年後だった気がする
           そんなことが印象に残したのだろうか・・・
           モーツァルトやベートーヴェンの記憶が大抵の
           素敵なお婆ちゃまイメージで思い出すピアニスト・・・