水の憧憬 ~水の憧憬~ 沸き出づる術(すべ)も知らず ただ美しく 透明に 静かに 悲しみと 旅情を湛え 訪れるものを 拒むでもなく 招きもせず 津々と 滔々と 風に曲線を 砂は水底(みなぞこ)に 重く 月のひかりは切なく 湖面に零れ 戯れて時はゆく 水の姿は変わらぬまま 眠る花束の如く 寂しく あたたかく (2010・6・30)