インスリノーマ その2 | ELFの滔々

インスリノーマ その2

発作が起きた時すぐに注射が打てるようにと、足に注射針を刺したまま包帯を巻かれたエルフを車に乗せ、自宅に着くまでいろんなことが頭を過る。もし、インスリノーマが確定したらやはり死んでしまうのだろうか?もし、インスリノーマでなかったとしても他の重病だったら?仮にインスリノーマだとしても早期発見であれば助かるのか?など最悪のケースと最善のケースが止めども無く交互にわき上がって来ます。

診察を終えた後、先生とPCの画面をのぞきこみながら説明を受けました。そこに映っているのはエルフの内蔵の断面写真でとても鮮明でした。マウスのポインタを合わせると、どの角度からでも瞬時に見ることのできる最先端の設備は、どんな病気でも完治させることができる未来の医療器具のように頼もしく見えました。先生は連続する写真のなかの1枚を拡大し、肝臓や腎臓、胃などと順に説明していき、いよいよ目的のすい臓にポインタを合わせ「実はすい臓は脱脂綿のような臓器でとても薄く、そしてとてもデリケートだ」と教えてくれました。なるほどそれは他の臓器のように重要な仕事をしている臓器には見えないくらい小さく薄いものでした。

更に現在の医療技術ではこれ以上の確認は不可能で、周辺に癌の転移はなさそうだからインスリノーマだとすると、すい臓内に癌があり摘出すれば治る可能性もあるが、その癌が細かく散らばっていればお手上げだけど、癌が1カ所だけなら成功事例もある......となんとも歯切れが悪く、その上デリケートなすい臓は人の手に触れただけでも相当なダメージを受け、尚かつ切除となるとすい臓そのものの機能が壊れてしまう危険性を含んでおり、例え手術が成功したとしても完治ではなく延命であるとの見解でした。また薬事療法では癌の進行を遅らせることしかできないそうです。

とにかくレントゲン写真には他の臓器に癌が見つからなかったわけです。その為後日でなければわからないMRIによる脳の異常が見つかれば、そちらを疑った方がいいだろうし、脳に異常がなければやはりすい臓内の癌(インスリノーマ)の確率が高いと。いずれにしても、すい臓癌か脳腫瘍のどちらかの可能性が高く、それはそのままエルフの死を意味することくらい容易に理解できたが、そんなものまだ決まったわけでもないし、案外そのどちらでもないことだって十分ありえる。まして目の前には、疲労感は否めないけれど、いつものようにだらしなく寝ているエルフがいて、それは今まで通りいつもの光景だから突然エルフの死を意識しろと言われてもどうにも頭がそうさせない。とにかくMRIの結果を待つしか方法がない。低血糖のため今まで極力控えていた甘い物をたくさん与えることになり、健康なときは我慢させたのに病気の今、好きなだけ与えていいなんて妙な話です。

その3につづく