今回は番外編として、ここまでのワールドカップ総括のまとめを始め、サッカーネタオンリーでいってみたいと思います。

笑いもツッコミどころもなく、ただマニアックで自己満なだけのでサッカーにあまり興味のない方はスルー推奨で(笑)




まずは全体的な印象として、今回のワールドカップ公式球と、会場が高地中心という影響があって、プレイヤーはみんな苦労してるみたいですね。


普段ならまず見られないようなロングボールのミスや、キーパーのファンブルが目立ちますし、ボールが落ちないせいで弾丸ミドルや直接フリーキックもあまり見られません。


記憶に新しい本田の無回転ミドルや遠藤の巻いて落とすフリーキックをはじめ、ウルグアイのフォルランやイングランドのランパード等といったキッカーの名手どころがようやく決めはじめてはいますが、やっぱりそれでもインパクトの瞬間にはめっちゃ気を遣ってますしね。


大きなサイドチェンジ等、ロングボールが通ったとしても、胸でコントロールするのと足元で収めるのでは次のプレーにつなげるテンポにかなり違いもでてきますから。

しかし開催国の南アフリカはとうとう史上初となる開催国グループリーグ敗退の憂き目にあってしまいました。

まぁ最も、同じグループにウルグアイ、メキシコ、フランスが同居するという、開催国にしてはかわいそうな組分けではありましたが。

そんな今回のワールドカップ。

我らが日本は、史上初、自国開催以外でグループリーグ突破という快挙を成し遂げましたが、先日のパラグアイ戦では惜しくもPK戦にて敗れ、ベスト16という成績を残して南アフリカを去ることになってしまいました。

開幕前までは三戦全敗という予想があちこちで囁かれていたことを考えるとよくやったと思われますが、日本はまだまだやれたと思います。

開幕直前にフォーメーションをいじり、アンカーの位置に阿部をおき、そしてワントップの位置に本田という、一時期ゼロトップで話題に挙がったセリエAのローマにも似た配置に変えてきました。

ローマの場合は決して守備戦術というわけではなく元々そういうやり方なわけですが、今大会の日本は明らかに守備戦術としてこのフォーメーションを採用していました。

もちろん、相手はほぼ全てのチームが格上といえるレベルの中での大会なので現実的には的を得た戦術でもあるんですが、この日本、今やガチンコで攻め合っても決してそうそうやられないだろうというレベルにきていると思えなくもありません。

本田や遠藤、森本をはじめ、今回は戦術の都合上選ばれませんでしたが高い個の能力を擁する家長や香川、石川といった選手もJリーグにはたくさんいます。

岡田さんのサッカー自体が守備戦術を得意とするスタイルであるので、それでいくならば今の選抜メンバーが確かにベストなのかもしれませんが、これがもしビエルサやヒディンクといった、攻撃を信条とする監督で、うまく機能させることができれば…

例えば2008年のトヨタカップ(クラブワールドカップ)で、当時世界チャンピオンのマンチェスターユナイテッドに対し、負けたとはいえ5-3の打ち合いを演じ、ポゼッションでは上回っていたガンバ大阪がいい例です。

やはりそのレベルの相手に勝つことは難しいでしょう。

ですが、そんな相手だからといって自分達のやり方を変えずに超攻撃サッカーを貫いた。

結果的には負けてしまいましたが、これが世界に与えた影響は小さくはなかった。

つまり、機能さえすれば世界トップの相手とやり合ってもそうそうやられないだけの個の能力は有してるはずなんです。


あとはそれをうまく機能させれるかどうか、プラス経験だと思います。

地域的な問題を考慮しても、日本はそれを実践できる環境にありますし。

というのも、日本と対戦したパラグアイや、見事ベスト4に残ったウルグアイといった南米のチームは、ベースはやはり堅守にあります。

それは、同じ大陸にはブラジルやアルゼンチンという、超サッカー大国があるからなんですね。

彼らと長年やり合ううちに、自然と『勝てないまでも、どうしたら負けないか』を考えてしまう習慣が見についてしまった。

これはこれで致し方ないことというか、そうでもしなければ南米予選を生き残ることができません。

しかし日本はサッカーにおいては今やアジアの盟主であり、日本相手にガチンコでぶつかってくるチームといえば東には韓国、西にはサウジやイラン等、ほんの数える程度です。

こんな中、クラブチームとは違い滅多に集まって練習やキャンプのできない代表チームは堅守速攻をベースにしろという方が難しい話です。

なので、次期監督はまだ未定ですが、できればビエルサさんあたりにお願いするべきではないか、と個人的観測を抱いております。


少し話は逸れましたが、ワールドカップ南アフリカ大会。

これを書いている時点ではベスト4が決まっています。

ウルグアイ、オランダ、ドイツ、スペインです。


前評判の低かったドイツですが、バラックがいなくてもやはり持ち前の勝負強さでここまで残りましたね。

エジルの台頭、中盤にコンバートされ、レジスタともアンカーとも言える活躍を見せるシュバインシュタイガー、ついにワールドカップ通産ゴールの歴代一位まで後一点に迫ったストライカー、クローゼに、新星ミュラーのツートップ。

穴がありません。

奪ってからの見事なショートカウンターのスピードには目を見張るものがあり、ドイツ相手に先制されると勝ち目はないのではとすら思わせます。


そしてこちらは逆に前評判の高かったスペイン。

シャビを中心とする中盤のポゼッションは相変わらずえげつないですね。

日本を圧倒していたパラグアイですら全くポゼッションできずでした。

今大会は不調のエース、トーレスさえ本調子を取り戻せばやはり優勝候補No.1でしょう。

中盤からの圧力はもちろんのこと、センターバックのピケからのビルドアップ、セルヒオ・ラモス、カブデビラら両サイドの上がりからの正確無比のクロスと、どこからでも攻めることができる上に、守ってはプジョル、カシージャスらがいるというまさに鉄壁の布陣。

次はドイツが相手ですが、ドイツの術中にハマってしまったとしてもスペインならば見事にかい潜ることができるかもしれませんね。


次に逆の山ですが、こちらはウルグアイとオランダ。

中心選手を挙げるとするならば、フォルラン擁するウルグアイと、ロッベン擁するオランダ。

南米のための大会か?と思わせながら、唯一となってしまったウルグアイですが、今のフォルランはメッシ、C・ロナウド、ルーニーらと並んでいるといってもおかしくないくらいキレています。

所属するスペインのクラブ、アトレティコ・マドリーでもなかなか見られないような、フィニッシュから中盤の組み立てから、さらにはラストパスまでもが超一流で、ルックスもヤバい。

次は相棒、ルイス・スアレスが出場停止で厳しい布陣が予想されますが、そこはやはり老獪なウルグアイ。
いくらオランダでも簡単な試合にはならないでしょうね。

ウルグアイの一時代を築いたフォンセカやフランチェスコリら、世界的名手を擁していた時代ともひけをとらないほどのパフォーマンスを維持できている今大会。

1930年大会、1950年大会に続く、三度目の快挙を成し遂げたとしても、金星でも何でもないかもしれません。


そしてオランダ。

毎回優勝候補に挙げられながらも、肝心なところでの勝負弱さが出てしまい、実は未だ優勝経験がありません。

昔からの伝統であるトータルフットボールをやはり継承しており、それに加えて知将・ファン・マルバイクによって整備された堅い守備網をひく。

注目はやはりロッベンやスナイデルになるが、今最も外せないのは中盤の底に位置するファン・ボメルでしょう。

地味ながら今大会における舵取りは秀逸で、いわゆるオシムの言う『水を運ぶ』選手としては世界一かもしれません。

かつてのような派手さはないですが、その分堅実なフットボールができているということで、今大会は悲願をようやく達成できるかもしれないですね。

なんせあのブラジルを敗ったのですから。


そのブラジル、そして逆の山でドイツに完敗してしまったアルゼンチンですが、実はここ最近は『渦中の』2チームだったりします。

それは監督にあります。

94年大会優勝時の偉大なるブラジルのキャプテン、ドゥンガに、アルゼンチンが誇るサッカーの神様、マラドーナ。

どちらもが、やや行き過ぎた采配をしていた感じです。

ブラジルに今回最も欠けていたのは『華』であり、逆にアルゼンチンは『華』しか無かった。

今回のブラジルは一体どうしたんだと、世界中のメディアやサッカー関係者も驚きを隠せないでいるようです。

このドゥンガ監督、真面目過ぎるというか、堅実過ぎるんですよね。

わかりやすく言うなら岡田さんのように『5-4で勝つなら1-0で勝つ』タイプで、チームに規律やルールを設け過ぎ、そしてそれにそぐわない恐れのある、いわゆるラテンの香りを漂わせるプレイヤーを選出しなかった。

いや、それでもやはりブラジルはブラジルであり、順当にいけばもちろん世界一になるのは容易だったでしょう。

94年大会も同じようなサッカーを展開して優勝した経緯もあります。

オランダ戦も、何故か謎のペースダウンをしてしまった後半を除けば試合を支配していたのはブラジルでしたし。

最もそれを全て含めてのサッカーと言ってしまえばそれまでですが。

そんなブラジル、真骨頂を発揮するには良い意味での『不真面目さ』が必要なのかもしれませんね。


一方のアルゼンチンですが、こちらはアルゼンチン国内でも議論の的だったマラドーナ監督。

奇跡の逆転により何とかギリギリ南米予選を勝ち抜いたことにより、更迭すべきとされていたマラドーナがワールドカップを続投して引き受けることに。

これが吉と出るか凶と出るかは、第三者的立場からすればとても興味深いものではありましたが。


『名選手、必ずしも名監督にあらず』

という言葉がサッカー界では有名ですが、まさにこのことがピタリと当て嵌まる監督さんですね。


プレイヤーとしては、誰もが知る、あのペレと世界を二分する名選手ではありましたが、監督業となるとこちらはさすがに未経験の素人さんになってしまいます。

そこはさすがにアルゼンチンで、誰が出ても、誰が率いてもあれくらいの力は出せるでしょう。

しかし何故実力伯仲のドイツに大敗してしまったか。


戦術的采配です。


先にも書いたようにドイツには先手を取られるとどうしようもありません。

追い付こうと攻勢にまわると、綺麗に整備されたシュバインシュタイガーを中心とする前からの守備で奪われ、そこからのショートカウンターでさらに突き放されます。
マラドーナにはこれに抗う戦術がなかった。

サネッティのような経験豊富な老獪な選手を中盤の底に置いておかなかったことも要因の一つかもしれませんが、いくらメッシを始めとする個々の優れたプレイヤーを擁するアルゼンチンといえど、ドイツ相手に集団戦術をたった一人でかい潜るのはやはり無理があります。