創作「青春充実者は紅姫の夢を見ない」3 | 如月エルフのブログ

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セーラー服とマンガと○○と呪われし女装子

「しかし、それにしても」
笹津やん菜が切り出した。
「『八十亀ちゃんかんさつにっき』って、デートの場面が無いな」
「これが高校生活で普通なんじゃないでしょうか」
「いや、『ときめきメモリアル』とかでは色んな女の子達とよくデートしてるけど」
「あれはゲーム。そやけどうちらもマンガやし」
「メタ発言」
「まあたまにはええやろ」
「ていうか、単行本第4巻の名古屋港水族館の話ではデートみたいな事してなかったかな」
「そういえば、同じ話のアニメでは4人でデートになっていきましたわ」
「それじゃあ、今後もうちら4人でデートしていこう。あ、ララちゃんも入れて5人な」
「ヤー」
写真部部員全員で心が一致した。
「しかし、ただ単にデートに行こうって何か変というか」
「何か備品とか買いに行く時に全員集まって行くとかすれば」
「そうや、そうしよう。いつだったか、陣のカメラを買いに行った時みたいに」
「今度は全員ちゃんと集まってくれよな」
「す、すみませんでしたわ」
「ああ、わかっとるわ」
「単行本第2巻参照」
「だけどその時の笹津ってかわいかったな」
「紅姫の話はもうええっつうに」
「いやそうじゃなくて、ほら、アニメ3さつめの時のエンディングで、みんな並んでるけど、特に只草と笹津、作品の中で一番魅力的だった時の姿で出ていたし」

「あらそう?・・・って、ギャー違う~、ってこれ私やない~~~」
「パジャマ着てて伊勢エビの抱き枕抱えてて髪を紅姫みたいに伸ばしてて」
「いや~やめて~~~」
「只草モペンライト持ッテテオタク~」
「私もそういうのは恥ずかしいですわ。八十亀ちゃんにオタク呼ばわりされるし」
「あのあと陣もつらそうな表情してる女の子に肩に抱き寄せられてるやん」
「いつの間にかわいい女の子とできてたの、みたいな」


「あれは妹の繁華だって。ヘタすると誤解されるんだなあ確かに」
「キンシンソウカン」
「そういうのじゃないって。マンガでは接触する所なかったんでは」
「繁華さんも意外と暴力的でしたわね」
「単行本第13巻参照」
「このマンガの女の子達みんな暴力的だなあ」
「え、そうでもないでしょ」
4人はいつしか笑い合っていった。
「何かぼく達、充実してないかい?」
「そうですわね、こういうのを青春っていうんかしら」
「どうやろ」
「紅姫さんはあか先輩といてた時がそうだったんじゃない?」
「え、そうやったけど、今も充実してるっていうか、いちいち紅姫って言わんでええわい。笹津でええっちゅうに」
「そうだな。今は紅姫じゃないし」
「ああそうや、今はおてんば姫や、ってやかましいわ」
この様子を生徒会室で3人が見ていた。
「ドラゴンクエスト4」
「そうよねきぃちゃん、アリーナ姫はおてんば姫ね」
「え、何、横浜アリーナ?」
「神奈川県じゃないのよ、湘ちゃん」
モニター越しで写真部部室の様子が眺められている。
「まああの男子生徒も、部活で一生懸命になったりマネージャーの女の子とも仲良くなっていって、紅姫の夢を見なくなったというか」
生徒会室で生徒会長、副会長、会計の3人がその様子について話す。
「人間は髪を必要としない時が一番しあわせである」
「何それ。きぃちゃん、たまにいい事言うのよね」
「『アクトレイザー』エンディング参照」
「何だ、ゲームか。ていうか、髪って何だ?」
「紅姫の長髪でしょ」
「紙の間違いではないか?パソコンやスマホの普及で紙が使われなくなったり世の中が便利になったりして人が幸福になるという事だろ」
「本当にしあわせになってるわけでもないけど。湘ちゃんってよく怒るし」
「な、何だと」
「ほら。紅姫さんを見習いなさい」
「あいつだって正体は笹津やん菜だろ」
「そうだけど、この前の会見でも暴言吐いたり暴力を振るったりしないように気をつけさせてたのよね」
「そうだな。紅姫のイメージを壊さないようにか」
「いやそうじゃなくて、そんな事になったらますます好きになった、となるでしょ」
「何だ、そっちか~」
「だから湘ちゃんにも機会はあるわよ」
「やかましい~」
「あれ正確には『神』なのよね」
会計の朝霞きぃなが普段通りの小声で言った。
またしばらくした頃。
「あのう、写真部はここでしょうか。人を探しているのですけど」
「おいまたか。そりゃあ、紅姫の存在を放置していたのもある意味問題やったけど」
「どうぞこちらへ」
只草舞衣の案内で客はテーブルに座り、反対側に部員達4人が座った。
「どのような人でしょうか」
「もなねこさんです」
「へ?」
部員達は八十亀最中の顔をちらっと見てすぐ引っ込めた。
「少し前にテレビに出てたモデルですけど、かわいくて心を奪われて、それでどうしても会いたくなって、モデル事務所まで探しに行って、そしたら今名古屋にある学校にいるって聞いてやって来たんです」
「いや残念ですけど、うちの高校にはそのような人はいません」
「ああそうでしたか。それでは」
こう言って去っていった。
「おい、紅姫の次はもなねこかよ」
「修学旅行で八十亀ちゃんがついていったらモデルデビューされたんでしたけ」
「単行本第13巻参照」
「いや、見たところ、あの男子生徒、高校生には見えないほどふけてたし。学校へは関係者以外入れないから変装してたんだな」
「それでうまく追い返す事ができましたわね。多分あちこちの学校を探し回ってたりしますわ」
その後、ビデオ電話で聞いてみたところ・・・。
「いやあ悪い悪い。確かにそいつうちの事務所に来て、どうしてももなねこちゃんに会いたいと言ってきたから、今は名古屋に戻ってると言ってやったんや。そしたら遠いからあきらめるやろうと思ってたんやけど、しかしまさか本当に探しに行くとはなあ。まあこれ以上うちではどうしようもないから、そっちであと片付けしといて」
「全く、あか先輩ったら」
「どっちもそのままにしていたからのちのちまで遺恨を残す事になってしまったのですね」
「また来たらどうする?」
「その時はその時や」
「クレナイヒメ、ナガイカミ、モナネコ」
「何か八十亀ちゃんはまんざらでもないみたいな気分のようで?」


とりあえずここで終わります。続きは考えていません。